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[第1回]プラネタリウム・クリエイター 大平 貴之

世界一先進的なプラネタリウムということで、ギネスにも認定されたメガスターの開発者大平貴之さんに、学研の科学のふろくの思い出を聞いてみました。「大平技研」は、奧へ進めば進ほど機材がどんどん増え、原板製作用の最新レーザー機あり、メガスターの部品や工具をつくるための巨大な機械ありと、「研究所」っぽい雰囲気がぷんぷん……そんな大平さんの城を案内してもらって、いよいよインタビューのスタート!

文/佐保 圭 ムービー/眞形隆之 写真/編集部

1年生のふろくで植物にはまり、
3年生のふろくで化学に目覚める。

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ワークスペース潜入レポート

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記者 科学のふろくといって、最初に思い出すのは何ですか?

大平 ぼくは、『科学』も『学習』もとっていましたけど、“ひまわりの種”のことをよく覚えています。小学1年生のころ、千葉県四街道市に引っ越したのですが、『科学』のふろくの“ヒマワリの種”を庭に蒔いたら芽が出た。それがきっかけで植物に興味を持つようになり、母と一緒に庭を耕し、種を蒔いて野菜を育てたりしました。プランターで米作りにも挑戦しました。

あの頃は「植物博士になろう!」って心から思っていましたね。ですから、今でもプラネタリウムの部品探しに行ったホームセンターなんかで、種を目にするとだめですね。いまだに血が騒ぎます(笑)。

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インタビュー映像~「ふろく」との出会い

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記者 なるほど。実は科学との出会いは植物だったのですね。植物以外への興味は?

大平 小学校3年生のときに神奈川県川崎市に移ってから凝ったのが「青写真」です。理科実験の本に「薬品何gと何g混ぜると感光材ができる」と載っていたので、親にねだって、その薬品を取り寄せてもらいました。

化学実験に目覚めたはずなんですけど、印象が強いのは、実は秤なんです。薬品を調合するためにはかなりの精度で測る秤が必要です。計量は化学実験の基本中の基本ですからね。なのに、家にあったのは料理用のバネ秤だけ。これは一番小さな目盛りでも50gです。学校の天秤は自由に使えないし、市販の上皿天秤は1万円もして手が出ない。小さな重量の量れる秤がほしくてほしくてしょうがなかった。あの頃は、二言めには「上皿天秤」でしたから、いまだに量販店で売っている上皿天秤を目にすると、血が騒ぎます(笑)。

ですから、学研のふろくの“秤”が届いた時には「これだー!」って感じでした。

▲メガスター初号機(右)ドラマ用に作られた大平氏の最初の光学式プラネタリウム「アストロライナー」。

記者 ふろくの秤はどんなものでしたか?

大平 プラスチックでできた目盛り付きのフロートが水に入っていて、沈み具合で重さを量る。おもしろい仕組みでしたね。それでも、一般的な上皿天秤は0.1g単位で計れるのに対して、ふろくの秤は0.2g単位で計れましたから、もう十分役に立ちました。

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