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特集:映画監督・本広克行インタビュー

実はアナログ大好きなんです。邦画興行成績が、洋画興行成績を抜いた。そんな邦画ブームの最先端を行く人物こそ、ヒットメイカー・本広克行監督である。「映画のデジタル技術を進化させなければならない」という使命感を持つ本広監督なので、デジタル推進派の監督というイメージが強いかもしれないが、じつはフィルムをこよなく愛する監督だった。そんな本広監督の一面が見えるインタビューです。

取材・文・フォトムービー/眞形隆之
写真/渡邉茂樹

本広監督が監督になるまで

MOVIE

インタビュー・ダイジェスト

本広克行PROFILE

1965年7月13日生まれ。デジタル技術推進派の映画、テレビドラマ、舞台の演出家・プロデューサー。おもな作品に『踊る大捜査線 THE MOVIE』 『交渉人 真下正義』 『サトラレ』 『スペーストラベラーズ』 『UDON』 などがある。ROBOT所属。次回作は来年公開「少林少女」。10月には「Fabrica[12.0.1]」で再び舞台演出をする。詳しくは、本広克行オフィシャルサイト「MOTOHIRO.COM 」まで。

「大人の科学マガジン、いつも買うかどうか迷うんですよ。絶対に1個買うと、ほかのも全部欲しくなるから(手を出せないでいた)」

――本広監督は、申し訳なさそうに、そう言った。多少光があっても見えるように豆電球からLEDに光源を改造した、ふろくの映写機を見てもらったときに、「迷っていた」という言葉が決してお世辞ではないことがわかった。

「おー、もう改造も終わってるんですか!」

――“改造”という言葉が、本広監督の心に響いたらしく、前のめりになって、大きな目を一層輝かせた。大きな手でふろくの映写機をこねくり回し、隅から隅まで、なめるように見ながらつぶやく。

「透過してるわけじゃないですよね。あれ? 理屈がわからない…ちょっと不思議ですよね、コレ」

――反射式であることを説明したが、どうも、納得されていない。

「どこの反射をどう拾って、反射したのをこれが集めて…あ、そうか、ここに写るものを、レンズでこう、か!」

――ようやくシステムを把握すると、満足気に紙フィルムを映写しはじめた。ときには早く、ときには遅く。リールを回す速度が遅くなったときに、どこか引っかかりを感じますか? と問うと

「いやぁ、ここはゆっくり見たかったので、自分で調整しているんです」

▲紙フィルム映写機の映像に見入る本広監督。『アトム』のフィルムでは、「手塚治虫」の文字のところで速度を落とし、じっくり見ていた。

――と、すっかり、映写機の魅力に引き込まれたご様子。ふろくのフィルムを、ゆっくり、1コマ、1コマを大事に大事に最後まで堪能した。

「懐かしい気分になりますね。忘れていた記憶が戻ってきましたよ。昔、8ミリを作った頃を思い出しました。フィルムを触るのが好きで、フィルムをいじりたくて、映画をやってきたんですけど、それがまぁ、20年ぐらい前にフィルムを編集するという夢が絶たれているので、今フィルムをいじれないんです。最近は、ハイビジョンが多かったのでパーフォレーションとか、すごく久しぶりで…ちょっと、うれしかったです。」

――本広監督に映画制作歴を聞いてみたところ、最初は8ミリから始めたそうだ。それから日本映画学校に入って16ミリを回し、そして36ミリを編集したいという強い思いを持って、映画業界に入ったそうだ。

「『東京裁判』などを編集した浦岡敬一さんという、すごい編集の方がいて、その人のお弟子になりたくて日本映画学校に入ったんです。学校で編集作業の試験がありまして、向き、不向きってのがあるんですね。そこで、君は編集向いていないからって言われてしまいまして、それから監督をやっているんです。」

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