前置きがすっかり長くなった。こうして連載は始まる。シートンが書いた最初の動物は、ロボと名づけられた狼だ。ファーブルが最初に取り上げたのは、古代エジプトでは再生や復活の象徴として崇拝されたスカラベ(フンコロガシ)だ。
僕は何を取り上げるつもりなのかといえば、実は最初から決めていた。今キーボードを叩いているノートブック型パソコンのすぐ横にそれはいる。半分ほどに水を入れた底の深い弁当箱サイズのタッパーの中。全部で6匹。小さい個体は5ミリ弱。大きい個体は3センチ強。
プラナリアだ。
とここまで読んで、「ああ、あれか」と思う人はどれくらいいるのだろう。Yahooの検索エンジンで「プラナリア」と打ち込んだら、ヒットする数は101000件。広辞苑によれば、
ウズムシ目プラナリア科の扁形動物の総称。体は扁平で軟弱。体長2センチメートル内外。褐色で腹面中央に口をもつ。流水中の石の裏などに住む。再生の実験材料として有名。ナミウズムシなど。
と説明されている。ネット上のフリー百科事典『ウィキペディア』の記述はもう少し詳しい。以下に一部を要約しながら引用する。
プラナリアは、扁形動物ウズムシ綱ウズムシ目ウズムシ亜目動物。生物学でプラナリアという場合、サンカクアタマウズムシ科ナミウズムシ属のナミウズムシ(Dugesialatum japonica)であることが多い。この種は日本全域に分布。きれいな谷川の石の裏にいる。体長は20mm程度、扁平な体、三角形の頭部を持つ。体色は茶褐色から黒褐色。体腔を持たない。腹面中央に咽頭があり、そこから吻をのばして餌を食べる。肉食であり、カゲロウなどの水生昆虫などを食べる。消化管は体内で前後に伸び、分枝して体の隅々に至る。イトミミズやアカムシユスリカを食べさせると、全身の消化管に入ってゆく様子が見え、全身に消化管が分岐していることを観察できる。(後略)
扁形動物というと具体的なイメージがわかないが、近縁でよく知られているのはサナダムシやコウガイヒルの一族だ。どう考えてもペットには不向きだ。
直木賞をとった山本文緒の短編「プラナリア」で、この名前を知った人も多くいるかもしれない。ちなみにこの小説は実際のプラナリアとは関係ない。「生れ変ったらプラナリアになりたい」と女性主人公がつぶやくシーンがあるらしいけれど僕は未読だ。
プラナリアの最大の特長は、何といっても動物界ではナンバーワンといえる再生能力だ。とにかく切った数だけ増える。トカゲの尻尾や、蟹やイモリ、タコなどの手足の再生はよく知られているけれど、プラナリアのそれは他の動物の追随を許さない。体を10個に切断すれば10個の個体となる。とにかく圧倒的だ。200に切り分けられたとき、そのすべてから再生したという記録があるようだ。
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