……クイズミリオネアだったら、これは幾らくらいの金額の設問になるのだろう。二十万円くらいかな。いきなり「裸の蟲とは何でしょう?」と聞かれても普通はわからない。でもここまでの流れで、読者の多くはおそらく察しがつくと思う。ご明察。正解は「人類」だ。
話が逸れた。何だっけ。そうだゲジゲジだ。どうも無意識にこの生きものについての記述を避けているような気がする。締め切りはもう過ぎている。とにかく原稿を進めなくては。
多くの人が嫌がる虫や生きものに対して、僕は比較的耐性がある。これは断言してよいと思う(威張れることじゃないけれど)。爬虫類や両生類全般は大好きだ。でもその僕にしても、やはり虫に対しては得手不得手がある。それほどに虫にはヴァリエーションがあるということでもある。ハチやムカデなど毒虫は例外にするにしても、ゴキブリやクモなどは、やはり人並みに触りたくない。触れと言われれば触れるけれど、できることなら回避したい。
最もダメなのはカマドウマ。別に噛むわけじゃないし、エイリアンのように粘液にまみれているわけでもない。でもこの虫だけは、おそれを知らなかった子供の頃から今に至るまで、前世でよほどの因縁があったのじゃないかと思いたくなるくらいに、とにかく生理的にダメなのだ。無理に分析をすれば、たぶんあのジェリービーンズのような微妙な曲線を基調にした造形と、薄い斑の色の組み合わせがダメなのだろう。
でも他にも苦手な生きものがいた。この夜はそれに気づいた。普段はあまり目にしない生きものだ。おまけにとても素早い。見ると同時にいなくなっている。だからこれまではあまり意識しなかった。でもこの夜は、僕のベッドサイドにそれはいた。
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