前述のようにゲジゲジはムカデと近縁の節足動物だ。日本に最も多く生息するゲジゲジは、体長はせいぜい2~3センチ未満。オオゲジは最大で7センチくらいになる。さらに脚がとにかく長いので、全体では15センチくらいあるように見える。
身体の構造はムカデに近い。でもムカデのように体躯は細長くない。そして脚や触覚が長い。夜行性だ。昼は落ち葉や石の下などでじっとしている。そして日が沈むと活動を始める。
活動といっても会社に行くわけでもないしボランティアに勤しむわけでもない。ハンティングだ。その獲物はクモや小さな昆虫。鋭い大顎で捕獲する。この大顎の形は、やはり肉食のムカデとよく似ている。ムカデの大顎は実際には顎ではなく頭部の次の体節の脚が変化した顎肢だ。おそらくはゲジゲジも同様だろう。
生態や生活史の詳細はよくわからない。ネットで検索した結果を統合すると、寿命は5年から6年あたりらしい。意外と長命だ。成熟したメスは毎日のように産卵する。孵化直後の幼虫の脚は4対と少ない。成長とともに脚の数は増えて(おそらくは脱皮に合わせてなのだろう)、やがて15対となる。
移動する際にはムカデのように身体をくねらせることはない。ムカデの脚が絡まったなどの寓話をたまに目にするが、実際によく観察すればムカデの脚は短いから、絡まるというイメージはあまり湧いてこない。むしろゲジゲジのほうがその可能性はありそうだ。でももちろん脚が絡まることなど(たぶん)ない。15対の脚の動きはとても俊敏で、そしてとても優雅だ。
脚の先端が鞭のように伸びると記述された資料があった。意味がよくわからないけれど、もし言葉どおりなら相当に精巧な仕組みといえるだろう。
ムカデは相当に獰猛だ。毒も強い。子供の頃に噛まれたことがあるけれど、そのときの痛みは強烈だった。あの時代はよく虫に刺されたり噛まれたりしていたけれど、ムカデの痛みはアシナガバチの比ではない。僕はスズメバチに刺されたことはないけれど、ムカデの痛みはその数倍だと言う人がいた。しかも長く続く。
つまりムカデは、サソリや巨大なタランチュラと並んで毒虫の最強王者。明らかに危険で剣呑な生きものだ。でもその近縁のゲジゲジには、ムカデのような毒腺は(たぶん)ない。そもそも人を噛むことなどまずない。何よりも攻撃性がほとんどない。肉食ではあるけれど、かなり平和な生きものだ。