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第14回 首都圏動物記韓国篇

 ハトと人との関わりは古い。旧約聖書「創世記8章8~11節」には、ノアの箱船から放されたハトがオリーブの葉をくわえて帰ってきたことで、大洪水の水が引いたことをノアたちが知るというエピソードが記載されている。
 だからハトは、オリーブの葉とともに平和の象徴でもある。国際連合の旗はオリーブの葉と世界地図がコラージュされている。1949年にパリで開催された国際平和擁護会議の際には、ハトがオリーブの葉をくわえているポスターをピカソが書いて話題になった。
 ハトというと多くの人が神社の境内を連想する。ただしすべての神社ではない。たとえば春日大社では鹿、稲荷神社では狐、熊野神社ではヤタガラス(三つ足の烏)などが知られているが、神社はその系統によって神使が違う。ハトは日本各地に所在する八幡神社のお使い(ご神使)だ。
 この八幡神社に祭られる八幡大神(八幡大菩薩)は、そもそもが武士階級の守護神だ。つまり戦いの神。そのシンボルでもあるハトは、平和の象徴などではもちろんない。
 でも明治維新以降、西洋の思想や文化が急激に流入する過程で、ハトはいつしか愛と平和のシンボルとなってゆく。ハトとオリーブの葉をパッケージにコラージュしたタバコ「ピース」が発売されたのは、戦争が終わった翌年である1946年であることは意味深い。たぶんこの年にならなければ、「平和」を謳うタバコなど(しかも敵性言語だ)決して販売されなかっただろう。
 かつて家禽の時代があったドバトは、北海道を含む日本全土で普通に見ることができる野鳥だ。生息エリアはどちらかといえば山林地域よりも都市部だ。工業地面積が増えると出現する個体数が増え、森林面積が増えると低下するとの研究発表もある。色や模様にさまざまなヴァリエーションがある理由は、家禽時代に多くの品種が作られたことを意味している。

 基本的には草食性だ。さすがは平和のシンボル。でも(まれ)に昆虫などを捕食することもある。卵の数は通常は2個。孵化(ふか)まではおよそ16~20日間。育雛期間は35~40日程度で、ハト類はすべて雛に、蛋白質に富んだミルク状の嘔吐物を与える。ピジョン・ミルクだ。中国では最高級の珍味とされる。
 ……なんてね。中国の話は嘘。でもツバメの巣の素材(アナツバメの唾液腺からの分泌物が固まったもの)をあれほどに珍重するのだから、ピジョン・ミルクだって料理の素材になるはずだと思うのだけど。

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