ハトと人との関わりは古い。旧約聖書「創世記8章8~11節」には、ノアの箱船から放されたハトがオリーブの葉をくわえて帰ってきたことで、大洪水の水が引いたことをノアたちが知るというエピソードが記載されている。
だからハトは、オリーブの葉とともに平和の象徴でもある。国際連合の旗はオリーブの葉と世界地図がコラージュされている。1949年にパリで開催された国際平和擁護会議の際には、ハトがオリーブの葉をくわえているポスターをピカソが書いて話題になった。
ハトというと多くの人が神社の境内を連想する。ただしすべての神社ではない。たとえば春日大社では鹿、稲荷神社では狐、熊野神社ではヤタガラス(三つ足の烏)などが知られているが、神社はその系統によって神使が違う。ハトは日本各地に所在する八幡神社のお使い(ご神使)だ。
この八幡神社に祭られる八幡大神(八幡大菩薩)は、そもそもが武士階級の守護神だ。つまり戦いの神。そのシンボルでもあるハトは、平和の象徴などではもちろんない。
でも明治維新以降、西洋の思想や文化が急激に流入する過程で、ハトはいつしか愛と平和のシンボルとなってゆく。ハトとオリーブの葉をパッケージにコラージュしたタバコ「ピース」が発売されたのは、戦争が終わった翌年である1946年であることは意味深い。たぶんこの年にならなければ、「平和」を謳うタバコなど(しかも敵性言語だ)決して販売されなかっただろう。
かつて家禽の時代があったドバトは、北海道を含む日本全土で普通に見ることができる野鳥だ。生息エリアはどちらかといえば山林地域よりも都市部だ。工業地面積が増えると出現する個体数が増え、森林面積が増えると低下するとの研究発表もある。色や模様にさまざまなヴァリエーションがある理由は、家禽時代に多くの品種が作られたことを意味している。