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第15回 住宅地のヒキガエルの謎

 とにかくヒキガエルに天敵はほとんどいない。唯一の存在であるヤマカガシも、人家の周辺にはまず生息していないし、少なくとも阿佐ヶ谷の商店街や早稲田大学のキャンパス内にはいないと断言していいはずだ。
 だからだろう。とにかく動作は緩慢だ。カエルなのにジャンプが苦手。夜行性で昼は倒木や石の下などにいる場合が多い。陽が落ちるとのそのそと這い出てきて虫やミミズなどを食べるけれど、夜が更けてくると住処すみかに帰ってしまうことが多いようだ。とにかくマイペース。何枚か写真を撮ったけれど、突然目の前で光るフラッシュにも、動じる気配はまったくない。見方によっては哲学者のような風貌だ。

 カエルの繁殖には水が絶対に必要だ。なぜならえら呼吸をするオタマジャクシは、水の中でしか生きられない。例外的にモリアオガエルは樹木の葉などに産卵するけれど、生まれたオタマジャクシは樹木の下にある沼などに落ちる。言い換えればモリアオガエルは、沼や湖の上にせり出している樹木の葉にしか産卵しない。

 ところが阿佐ヶ谷商店街の近くには、湖や沼などどこにもない。小さな池がある平和の森公園や哲学堂公園までは、人の足でも小一時間はかかる。しかも車道をいくつも横切らねばならない。断言するが、ヒキガエルにはこれらの池に到達することは無理だ。
 ならば阿佐ヶ谷にいたヒキガエルたちは、どこで繁殖しているのだろう。

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