……これが前号の締めとして書いたことの要旨。読み直してから、「悪い癖がまた出た」と吐息をつきたくなる。特に連載の場合、終わるときに次回への期待をできるだけ煽る。時おり無意識にこれをやってしまう。たぶんテレビ・ディレクター時代に染みついた癖なのだろう。とにかくテレビは競争原理が激しい。もちろんテレビだけではなく、出版だって競争原理は働いているはずだけど、少なくともテレビの比ではない。もっと緩慢だ。
その理由のひとつには、テレビの場合は競合他社が限定されているということがあるのだろう。つまりあらかじめ規定のトラックに入れられた走者の状態だ。しかも他のランナーたちはすぐ横を併走している。必死に走らざるを得ない。もちろんこれだけじゃない。認可事業であり監督官庁があること。消費者からではなくスポンサー企業から広告費として対価を得ること(結局はスポンサー企業の商品に広告費は上乗せされるわけだから、消費者は間接税的に料金を払っているわけだけど)。他のメディアに比べれば影響力が大きすぎること。とにかくそんな要素の一つひとつが輻輳して、テレビは激しい競争原理に晒されている。そしてこの余裕のなさが、テレビの制作現場をますます窮屈なものにしている。
……話が逸れた。戻さなくちゃ。1ヵ月以上エサを与えなくても、プラナリアは飢えて死ぬことはない。3ヵ月という記録もあるらしい。もちろん絶食状態があまりに続けば、最後には形を保てなくなって死ぬ。でも痩せない。
生物はすべて新陳代謝を行う。つまりエネルギーを摂取して生命活動を維持する。エサを摂取できない環境に長くいる場合、体内に蓄積してあったエネルギーを使う。そして痩せる。犬もライオンもニジマスもスズメもヤモリも人も痩せる(昆虫は外骨格だから表面的には痩せようがない)。
ところがプラナリアは痩せない。痩せないが小型化する。形は変わらない。
エサを食べて大きくなるときも、エサを食べずに小さくなるときも、プラナリアはつねに体の作り直しをしていることが、最近の研究の結果でわかってきた。
体を作り直す。つまりリサイクルに近い。全身リサイクル。なぜそんなことができるのかといえば、体中に全能性幹細胞が分布しているからだ。