首都圏動物記のトップへ WEB連載 5

第5回 皇居のスッポン

 体長は40センチほどある。だから最初僕は、最長で80センチほどにもなるスッポンモドキかと思った。これもまた外来種。でもよく見ると違うようだ。写真からも明らかなように、前脚に爪がある。スッポンモドキの前脚はウミガメのようにひれ状になっている。だからモドキではない。でも日本の在来種のスッポンがこれほどに大きくなるだろうか。

 はっきりとはわからないけれど、フロリダスッポンやトゲスッポンなどアメリカスッポン属の可能性がある。だとしたらこれもまた誰かが、飼育したはいいけれど結局は大きくなりすぎて、手にあまり放流したというところかもしれない。

 お堀における外来種の隆盛はすさまじいようだ。スッポンやミシシッピアカミミガメだけではない。13ある堀の一つ「牛ケ淵」を環境省が 2000年に調べたとき、網に掛かった魚3400匹のうち、3356匹をブルーギルとバスが占めた。つまり98%が外来種。本来の在来種であるモツゴは30匹で、ジュズカケハゼに至っては、このときに捕獲できたのはたったの4匹だった。
 スッポンの姿はいつのまにか消えていた。もちろん可能なかぎりは在来種を守るべきだとは思う。でも在来種を守るために大量の帰化動物を駆除したりするならば、僕はそれもまた違うと思うのだ。
 あらゆるジャンルでグローバル化は進む。そして交雑する。それはこの小さな国の宿命だ。僕はお堀から顔を上げる。石垣の向こうには御所があるはずだ。

 01年の天皇誕生日直前に、ワールドカップ日韓共催(02年)について触れながら今上天皇は、「桓武天皇の生母が百済の武寧王ぶねいおうの子孫であると『続日本紀』に記されていることに、韓国との所縁を感じています」と記者会見で公式に発言した。
 天皇陵が一般公開されない理由などをめぐって、メディアだけではなく一般の人たちも、声を潜めて「タブーらしいよ」などと囁き合っていた天皇家と朝鮮半島との関係について、125代目の今上天皇自らが、あっさりとカミングアウトしたわけだ。
 でもこの事実を覚えている人はあまりいない。なぜならテレビや新聞は、この公式発言をほとんど報道しなかったからだ。何だかなあ。天皇の記者会見を報じないほうが不敬じゃないかと思うのだけど。

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