首都圏動物記のトップへ WEB連載 5

 この連載を書きながら時おり思い出す。子供時代、いろんな虫や小動物たちを、そのつもりはなくとも殺していた。悪意などもちろんない。どちらかといえばその虫や小動物のためのつもりだった。でも結果として、僕はたくさんの命を犠牲にした。どうしてあれほどに残酷でいられたのだろう。

 虫を食べる虫は多い。でもカマキリはその大きな鎌でがっしりと獲物を捉え、さらには頭からむしゃむしゃと食べるので、肉食の昆虫の代名詞のような位置にいる。
 しかし分類学的には、カマキリはとても微妙な位置にいる。バッタなどと同じ直翅目ちょくしもくにカテゴライズする方法と、ゴキブリやシロアリなどの網翅目もうしもくにカテゴライズする方法の2つがあるらしい。そもそもゴキブリを直翅目にカテゴライズする分類法もあり、このあたりの区分けはとても微妙で重なり合っている。

 そりゃそうだ。生きものだもの。人間が考える分類にすっきり収まるわけがない。

 カマキリといえば、何といっても交尾しながらメスがオスを食べてしまうその習性が有名だけど、あれも別に習性といえるほどに頻繁にあることではなく、たまたま食われてしまった哀れなオスがいたという程度のことのようだ。ただし頭から食われながらも交尾を続けることは確かだ。まあオスとしては、結果としては交尾と引き換えに食われるのだから、今さらやめられるかという気持ちもわからないでもないけれど。

 写真のハラビロカマキリは、写真を撮ったあとに、ある実験材料となった。捕まえてお尻をコップに入れた水につけてみたのだ。結果としては何も起こらなかった。だから庭に逃がした。ならば何が起きることを僕は予想したのだろう。

 ハリガネムシだ。

 ハラビロカマキリの個体の腹の中には、かなりの確率でこのハリガネムシが寄生している。道路などで車に踏み潰されたカマキリのお尻から、針金状の長い生きものがにょろにょろと現れたところを見た人はかなりいると思う。僕も子供時代に見た。かなりショッキングな光景だった。

 姿かたちは名前のとおり針金そのもの。長さは15~20センチほど。30センチ近くになる場合もあるようだ。類線形動物門に属する線形虫のハリガネムシ目。触ると意外なほどに硬い。くねくねと動くけれど、目的のあるような動きではない。ひたすらくねくね。でも水に入れると蛇のように泳ぎだす。
 このハリガネムシ、姿かたちも奇妙だけど、生態はもっと奇天烈きてれつで、興味深い生きものだ。

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