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親子で遊べる!大人の工作時間

文・動画/眞形隆之 写真/松岡誠太朗

第1回藤城成貴の 「作ろう!オリジナル・モビール」

空中をふわふわ、ゆらゆら。
「モビール」は、素材を糸で吊るし、バランスを取ったもの。
風で回転して、様々な形に変化する。
アートだけでなく、インテリアや知育玩具としても
世界中で独自の発展をしている。

藤城 成貴(ふじしろ・しげき) MOVIE PLAY

1974年東京生まれ。桑沢デザイン研究所夜間部卒業。
1998年に株式会社IDEE に入社。 CLARKS のシューズからヒントを得たソファ「SNOOK」で評価を高め、定番商品及び、特注家具のデザインを手掛けるようになる。
2005年に退社後は、shigeki fujishiro design を設立、幅広い活動を行っている。
http://www.shigekifujishiro.com/

MOVIE もビールって?

東京のど真ん中、
国立新美術館でワークショップ

 開館3年目を迎えた、東京・六本木にある国立新美術館。去る2月14日、館内にあるSFTギャラリーで「FRAMES」と題するモビールの展示をおこなった、プロダクトデザイナーの藤城成貴氏によるワークショップが開催された。

 「FRAMES」は、直方体が連なるシンプルなデザインの木製のモビールで、透明な糸で吊るされているため、まるで空中に浮いているように見える。ゆっくり回転しながら、照明によって壁や床に浮かび上がる影もまた不思議で、多くの来場者の足を止めていた。

 ホームページや国立新美術館のポスターなどで募集された「作ろう!オリジナル・モビール」のワークショップの定員20 名の枠には、あっという間に3倍もの応募があり、参加は抽選となった。

オリジナルモビールを作ろう


「モビール作りで最も重要なのは重心を取る作業」と、藤城氏。


思い通りの形を作るのは意外と難しい。参加者のまなざしも自然と真剣に…。


 
必要な材料はこれだけ。

 参加者のほとんどが、モビールを見たことはあっても、自分で作るなんて経験は、これまでなかったに違いない。藤城氏の説明を聞き、お手本を見ながら、見よう見まねで制作開始。最初は色鉛筆を使って、イメージをイラストにしていく。直方体、円柱、ハートといった、あらゆる形を組み合わせる。イメージが固まったところで、グニャリと曲がる針金を使ってモビールの形を作っていく。

 同じような形でも、フリーハンドで描いたような、いびつな直線のフレームは個性となって表れるので面白い。形ができたら、針金にグルグルとカラービニールテープを巻きつける。透明のテグスでモビール同士をつなぎ合わせたら、いよいよ完成である。

 モビールを手で持ち上げて、空中でゆらゆらと揺らすと、テーブルの上に置いてあったときと違って、まるで生き物のように見えてくるから不思議だ。天井付近の小さな空気の流れに影響を受けて、ゆっくりとジワジワと回転する様は、ついつい見とれてしまう。これが、モビールの魅力なのだろうか?

参加者の作品を吊るして
モビール鑑賞会

 

MOVIE ワークショップって?


フックを使って天井から吊り下げる。

 友人の家で、子供用の玩具としてのモビールを見て、大人が見て楽しめるインテリアとしてのモビールがあってもいいのではないかと思ったことが、作品が生まれたきっかけだったという藤城氏。

 今回、国立新美術館のワークショップで作られたモビールは、参加者が試行錯誤の末に生まれた立派なアート作品となった。

 最後はみんなでモビール鑑賞会。作者が一人ずつ、自分の作品を説明し、それに対して藤城氏が、どこが面白いかと解説をする。ゆらゆらと揺れるモビールが、アットホームな雰囲気を、さらに癒してくれる。

 自分で作ったものは、既製品にはない、特別な愛着がわく。自分でモノを作る楽しみを多くの人に知ってもらえるのが、ワークショップのよいところだと思う。とは、ワークショップが終わって話をしてくれた藤城氏の談。

 針金とビニールテープとテグスがあれば誰でも簡単にできるモビール作り。興味がわいたら、映像を参考に、モビール作りに挑戦してみては?

風が当たるとくるくる回って、見る度に変化する作品たち。

国立新美術館では定期的にアーティスト・ワークショップを開催しています。

公式ウェブサイトにて随時参加者を募集しているので、是非チェックしてみてください!

太陽や月、宇宙、DNA、銀河などの世界を美術で表現するアーティスト
野村仁の個展『野村仁 変化する相−時・場・身体』

5月27日(水)~7月27日(月)まで国立新美術館で開催されます。
アーティストの思考と科学技術とが結び合った新しい美術のあり方を体験してください!

《北緯35度の太陽》
1982-1987年 京都市美術館蔵

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