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大人の科学実験村 第1回 アルミを溶かしてバーベキュー

ついに開村の日を迎える!

 5月24日、長野県佐久市みどりの村において予定通りの午後1時半、大人の科学・野外実験村第1回の開村宣言が、湯本村長より発せられた。湯本村長が編集部屈指の強力な雨男であるため空模様が心配されたが、太陽がまぶしいほどの快晴ではないものの、まずは晴れである。

 村民は、読者代表の加藤、原田、紅一点中西、そして編集部から村長湯本、金子助役、主任の西脇の6人に加えて、材料運搬・作業助手・買出しの下働きスタッフ若干名だった。

 助役たちの凹面鏡製作実験失敗の苦労を見て見ぬフリをしていた村長雨男湯本は、空を見上げ気を良くして表情が明るい。金子と西脇も、つられて空を見た。イチかバチか、やるしかないのである。そして、明るい開村宣言の後、村民は早速、作業に取り掛かった。


 

アルミの融点は660度

 まずは耐火レンガを組んで炉造り。アルミの溶解温度は660度、真っ赤におこると1000度を超える備長炭に火をつけるのだから、耐火レンガでなければ炉は高温で崩壊してしまう。

 組み上げた炉に備長炭を放り込み火をつけた。その燃え立つ1000度の赤が、実に綺麗である。野外の火は我々の祖先古代人の野生を村民の胸底に蘇えさせるのだろうか…全員がうっとりと火を見つめている。風を受けて噴き上がる火の粉に、中西が蛍を捕まえようとするかのように手を出した。危ない ! と金子助役の注意が飛ぶ。この火で早速バーベーキューと行きましょうよ、と下働きの男が呟いた。そうじゃないだろうッ ! と、今度は湯本村長が睨み付けた。


魅惑の炎でアルミを溶かす まずは炉作りから
1.アルミを溶かす坩堝は、ステンレスの鍋。鍋のサイズを基準に炉を組み上げる。 2-3.備長炭を炉に投入。着火させ、ブロワー(送風機)で空気を送り込み、一気に燃焼させていく。 4-5. 炉の中の温度が、アルミの融点に達するまでしばし時間がある。このタイミングでロクロを組み立てる。水平に設置しなければならないので、中心が正確か厳密にチェック!
6.着火後、およそ1時間で、炉の中の温度は1000度を超えた! 7.炉の温度がアルミの融点を超えたところで、ついにアルミのインゴットを投入。

 そして、さあ、いよいよ、ステンレスの深鍋の坩堝にビール缶を投げ入れて、と勢い込んだとき、主任の西脇から陳謝の発言があった。

 「直径50cmの凹面鏡を作るには、ビールの空き缶が約2000本必要です。それを集めることができませんでした。よって今回は、アルミの地金、インゴットを使います」

 ビール2000本、村民6人で1日5本を飲んだとして2か月半が必要である。加えて費用の問題も重なってくるため、やむなしで村民は納得。深鍋にアルミのインゴットを入れ、あとはひたすら備長炭の炎で熱し続けた。

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