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タネの話 写真・文/埴沙萌(はにしゃぼう) プロフィール等は「埴沙萌の植物記」

タネにはヘソがある

 写真(1)はエンドウの、タネを育てている子房(若い実のサヤ)を割ったものです。動物にたとえると、赤ん坊を育てている子宮のなかです。赤ん坊と、お母さんの胎座とは、ヘソの緒でつながっています。哺乳動物では胎盤と言っていますが、植物では胎座と呼んでいます。おなじ働きをするところです。
 緑色のまるいものは、生長ちゅうの胚珠(はいしゅ=タネのタマゴ)で、エンドウの赤ちゃんです。まだタネ(種子)になっていません。柔らかくて食べるとおいしいので、ヒトはこれをグリーンピースと呼んで食べています。
 このグリーンピースが生長すると、黄白色のタネになりますが、そのころにはヘソの緒は萎れています。エンドウマメに黒い部分(写真(2))がありますが、それがヘソの緒のついていたところで、動物にたとえると「ヘソ」です。

 写真(3)はナズナの生長ちゅうの子房で、写真(4)はそのなかです。エンドウとおなじように、母体と胚珠がヘソの緒で繋がっているのが見えます。やがて胚珠が育ってタネになるころには、ヘソの緒は枯れて無くなります。そして三味線のバチのような形をした果実(生長した子房)が乾燥して割れると、タネがこぼれ落ちます。
 ナズナの高くのびた細い茎は、いつも風にゆれています。タネは下にポトンと落ちるだけじゃなくて、遠くにとんで行くものもあります。ナズナのお母さんは、子どもが遠くにゆけるように、こんなところまで愛情をそそいでいるのですね。

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