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Gakken PRESENTS 大人の科学:製品版

発明発見シリーズ

真空管ラジオ Ver.2

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真空管の秘密-真空管についての豆知識とリンク集

大人の科学 真空管ラジオについて

真空管って何?

 ガラス管の中に電極を入れ、中を真空にして電極間に電子の流れを作り出します。その流れをコントロールすることでさまざまな電子機器を作動させます。これが真空管です。
 トランジスタが登場する以前、電子部品の花形と言えば真空管でした。
 1904年にイギリス人の技術者J.A.フレミングが発明したこの部品は、ラジオや通信機器といった電気製品に使われてきました。
   このキットでは、真空管を使って微弱なラジオ放送の電波を増幅し、スピーカーを作動させています。

真空管はどのように動作するのか?

 真空の中で金属を高い温度に熱すると、金属の表面から電子が飛び出します。これは、「エジソン効果」または「熱電子放射現象」とよばれています。
 電球のフィラメントを電気で熱すると熱電子放射現象により電子が放たれます。さらにフィラメントの近くに金属板(プレート)を立ててそこにプラスの電圧をかけると、放たれた電子は、金属板に吸い寄せられ、金属板からフィラメントへ電流が流れます。これが2極管です。  金属板に交流電圧をかけてやると、電子のみが金属板に引き寄せられて電流が流れます。流れる電流は一方通行ですから、交流を直流に変換できます。

 また、金属板とフィラメントの間に格子(はしご)状の電極(グリッド)を置き、そこに電子と同じマイナスの電圧をかけ、フィラメントと金属板の間で流れる電流を調節しているのが3極管です。グリッドにかけるマイナスの小さな電圧変化に反応して、電流は大きく変わりますので、その変化を利用して電気信号の増幅を行います。

キットの真空管は中国製

 このラジオの3本の真空管は、トランジスタなどの半導体が生まれる前に、ポータブル・ラジオなどの電池で聴くタイプのラジオに使われていたものです。真空管としては、後期のものにあたります。
 オリジナルは、1940年代にアメリカやヨーロッパで開発されました。電池で働く直熱式で、電源を入れると同時に働き出すタイプです。
 真空管は電源スイッチを入れてから15秒後ぐらいに動作し始める傍熱型が一般的ですが、このようにスイッチ・オンして、すぐに働き出す真空管もあります。

中国でも昔から各種の真空管が多数製造されてきました。このラジオで使われている真空管は1950-60年代に製造されたもので、トランジスタラジオが普及する1960-70年代にポータブルラジオや、通信用トランシーバーに使用されていました。(コードは中国独自のものですが、電気的な性能は米国、日本などの類似品が多かったようです。相当品についてはこの説明書の裏表紙に出ています。)
 当時の中国では、国営企業が各地の工場で多くの真空管を作っていました。今回のキットは、それを活用したものです。
 製造後、30年以上、倉庫で眠っていたものですが、性能の劣化は全く見当たらず、現在でも十分に動作します。ただし、キズ等はあります。

真空管の移り変わり

 20世紀の始めに、一番最初に開発された真空管は、電池式でしたが、もっと大きなサイズのものでした。もちろんその頃は電気がまだ家庭には配電されていませんでした。
 ラジオ放送が世界各国で始まり、その放送を聴くために、人々は競って真空管などの部品を買い集め、ラジオを自分で組み立てました。その当時は既に自動車用のバッテリー(蓄電池)が普及していましたので、ラジオの電源装置として、乾電池の他に蓄電池も使われました。
 その後家庭に交流電源が普及すると、真空管も交流式の電気で使えるタイプが数多く開発されました。
 電池式から始まった真空管は、交流電気の普及とともに傍熱式(ST管、GT管、mT管)へと変化し、サイズも小型化します。STはスタンダード・チューブ、GTはガラス・チューブ、mTはミニチュア・チューブの略です。その他にナス管、メタル(金属)管、サブ・ミニチュア管などがあります。
 日本でも真空管は、1980年代前半まで生産されていましたが、その後、企業による商業ベースの生産は終了しました。これは欧米諸国でもほぼ同じです。ロシアや東欧諸国、中国などでは、現代も真空管オーディオに使われる真空管は生産されています。

このラジオの回路について

 1920年代、ラジオ放送が開始された当時、放送を聴くためにいろいろなラジオが作られました。
簡単なものは鉱石ラジオで、このキットのラジオに使われているループアンテナより大型のループアンテナを使ったものや、長い電線をアンテナとして屋外に設置し、ヘッドフォンをつけて聴くものなどがありました。
 大きなアンテナをつけたのは、より感度を上げて、遠くの放送局を受信したり、大きな音量でヘッドフォンを鳴らしたかったからです。

 しかし、ラジオ放送を個人で楽しむのではなく、家族や多くの人といっしょに楽しみたいという希望から、増幅回路をつけてスピーカーを鳴らすラジオが開発されました。真空管ラジオの登場です。
 ラジオ放送の受信原理は、空中に飛んでいる人間の耳では聞こえないラジオ放送の電波を、耳に聞こえる音声信号に変換しスピーカーを鳴らすことです。
 ラジオ放送の電波は弱いので、ヘッドホンやスピーカーを鳴らすには増幅する必要があります。
ラジオの電波をそのまま増幅したり、さらに人間の耳に聞こえる音に変換してからも増幅する方式があります。この方式のラジオを一般に「ストレートラジオ」と言います。このキットは再生検波方式を採用したストレートラジオです。

 一方、受信した電波をそのまま増幅するだけでなく、いったん別の周波数(中間周波数)に変換してさらに増幅し、その後、音声信号に変換して受信する方法もあります。こちらは微弱な電波の受信に適しています。これを「スーパーヘテロダイン」方式と呼んでいます。

真空管リンク集

真空管、真空管ラジオ、ラジオについてもっと詳しい情報がわかるwebサイトをご紹介します。リンク先を通じて、真空管やラジオにより興味を持っていただけると幸いです。(順不同)

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