タネの話のトップへ WEBオリジナル連載

タネの話 写真・文/埴沙萌(はにしゃぼう)

イチゴの果実はどこ?〜赤いところは果実ではない

 写真(1)は、イチゴの花をカットしたものです。花柄の先端が、塔のよう形をした花托になっています。その花托には、オシベとメシベがたくさんついています。黄色の大きな袋がついているのがオシベで、花托に生えた黄色の毛のようなのがメシベです。
 いっぽんのメシベには、ひとつの子房がついています。リンゴでは子房が花托に囲まれていましたが、イチゴでは花托の表面に子房がくっついています。でも花托の上に載っているのではなくて、花托のなかに、浅くですが埋まっています。

 写真(2)は、イチゴの果実です。黄色のつぶが見えますが、子房が生長して果実になったものです。赤い、食べるとおいしい部分が果実ではありません。赤いくて美味しい部分は、写真(1)の花托が肥大生長したものです。
 果実というのは子房が生長したものです。写真(1)の、花托の上についていた子房が生長して、果実になったものが赤いイチゴの実の表面にたくさんついている、黄色のつぶです。

 写真(3)は、その果実のクローズアップです。メシベがまだ残っています。この果実のなかには、種子がひとつ入っています。写真(4)は、その果実をカットしたものです。果実のなかに種子が入っているのが見えます。
 リンゴもそうですが、イチゴも、わたしたちは花の柄を食べているというわけです。

タネの話のトップへ このページのトップへ