そんな種子がいっぱいのバナナが、いま食べているような種子の無いバナナになったのは、突然変異によるものなのですが、遺伝学的に三倍体に変化したからだと発見したのは、たしか遺伝学者の故木原均博士ではなかったかと思います。
ふつうの生物は男性の染色体一組と、女性の染色体一組とが受精のときに合体して二組になっているので、二倍体と呼ばれています。染色体というのは、遺伝子が列んだ帯のようなものですが、顕微鏡で観察するための染料でよく染まるので、染色体と呼ばれています。
原種バナナの染色体数は、基本的には11×2で22本ですが、三倍体は11×3で33本あるわけです。この三倍体には種子が出来ないことをヒントにして、木原均博士は人工的に三倍体のタネなしスイカをつくりました。