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大人の科学メールマガジン No.10 平成15年1月30日発行
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こんにちは。学研の湯本です。だいぶ遅くなってしまいましたが、本年もどうぞよ
ろしくお願い申し上げます。私は明日から、ドイツのニュルンベルグで行われるトイ
ショーに出張することになりました。今はまだ「大人の科学」を出品するわけではあ
りませんが、そのうちぜひ海外にも紹介できればと思っています。
- Contents -
01 - 大人の科学Vol.9「ベルリナー式円盤蓄音機」開発裏話(1)
02 - 「学研電子ブロック」拡張パーツ続報
03 - 「マイキット150」の復刻制作がスタートしました!
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【01】……………………………………………………………………………………………
大人の科学Vol.9「ベルリナー式円盤蓄音機」開発裏話(1)
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さて、今回の「ベルリナー式円盤蓄音機」ですが、前回のメールにも書きましたと
おり、開発は2000年の秋くらいからスタートしました。これは、「大人の科学」シリ
ーズの最初の商品の、「エジソン式コップ蓄音機」が正式発売になったちょっと後の
ことです。蓄音機といえば、エジソンとベルリナーですし、開発競争の最終的な勝者
となったベルリナーの蓄音機をやらないわけはいかない・・ということで、開発に取
り掛かりました。実はエジソン式を開発したとき、相当苦労しましたので、「今度は
わりと楽に作れるだろう」と思って取り掛かったのですが、やはり甘い見通しでした。
「エジソン式コップ蓄音機」の開発裏話はこちら
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/make01.html
初期のエジソンの蓄音機は、ピックアップ(リプロデューサー・レコーダー)の部
分が固定されており、録音再生の媒体の円筒の方が移動するというスタイルでした。
大人の科学の「エジソン式コップ蓄音機」もその方式をなぞっており、ピックアップ
は固定して、コップの方を移動させる方式を採用しております。ところが、ベルリナ
ーの蓄音機(録音専用機)は、回転する録音再生媒体(=レコード)の部分は固定さ
れており、ピックアップの方が移動するというスタイルです。今回の「ベルリナー式
円盤蓄音機」で一番苦労したのは、この機構を再現することでした。
今のアナログレコードプレーヤーを見ると、ピックアップを取り付けたアームの根
元部分が1点で固定されており、ここを支点にしてピックアップがレコードの溝をト
レースして横に振れていきます。ベルリナーの録音専用機は、これと違い、ピックア
ップそのものが横に平行移動しながらレコードをトレースしていきます。(昔、私の
家にはこういう平行移動型のピックアップを持つレコードプレーヤーがありましたの
で、このスタイルは、ベルリナーの時代で終わったわけではないと思いますが・・)
今回も当然ながら、この横に平行移動するピックアップを再現しようとしたのです
が、エジソンのときとはだいぶ勝手が違いました。水平に回転する媒体の上を、針が
横に移動しながらこするわけですから、針先にはエジソンのときよりだいぶ微妙な力
がかかることになります。このバランス、特に針の左右のバランスをうまく取るのに
とても苦労しました。
当時は、エジソンと同様、シナベニヤという木で本体を作るということにかなりこ
だわっていましたので、試作品も当然木で作っておりました。これで1号機の試作を
作ったのですが全くうまくいきませんでした。どうしてもピックアップのバランスを
調整できないのです。こうなると、まともに録音再生ができません。いろいろ試行錯
誤して、何とか録音・再生に成功しても、とても音質的に満足できるものではありま
せんでした。
初期の試作機の画像はこちら
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/no9sisaku1.jpg
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/no9sisaku2.jpg
いずれもピックアップの平行移動機構をもったものです。
その後、4〜5台の試作品を作り、ようやく安定したのが、2001年の暮れの事でし
た。結局ここまで到達するのに1年もかかってしまいました。もちろん、その間に復
刻版学研電子ブロックの仕事などをしておりましたので、こればかりにかかっていた
わけではありませんが、それでも先が見えるまでに1年もかかるとは全く予想してま
せんでした。
(以下次号)
大人の科学Vol.9
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┃ベ┃ル┃リ┃ナ┃ー┃式┃円┃盤┃蓄┃音┃機┃
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平成15年4月18日(金)発売予定
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予価:3900円(税別)
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予約受付開始は3月の予定です。
【02】……………………………………………………………………………………………
「学研電子ブロック」拡張パーツ続報
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前回のメールでお知らせした「光」をテーマとした拡張ブロックですが、その後開
発は順調に進んでいます。パーツと、実験のテーマがほぼ決定しましたので、お知ら
せいたします。
新しいブロックは、下記のようなパーツを入れる予定です。(ブロック総数は28個
の予定です)
・フルカラーLED
・フォトトランジスタ
・ショットキーバリアダイオード
・リレー
・メロディIC
・タイマーIC
・小型モーター
・光ファイバー
また、これで新たに作れる代表的な回路ですが、
・携帯電波メーター
・フルカラーLEDで色作りにチャレンジ
・マイクでイルミネーション
・光ファイバー式スポット光量メーター
・光ファイバー通信式音声伝送
・光と音で知らせる金属探知機
・バーコード円板で音階発生
・交通信号機
・チューニングインジケーターつきラジオ
という感じです。最終的には50回路くらいできるように考えておりますので、ご期
待ください。
前回もお知らせしましたとおり、何とか夏頃の発売を目指しておりますので、どう
ぞご期待ください。
一方、難航していた「シンセサイザーパーツ」についてですが、5回の試作を繰り
返しましたが、どうしても「復刻」というテーマをクリアすることができませんでし
た。大変残念ですが、シンセサイザーパーツの「復刻」は、ここで断念することにい
たしました。ただ、「音」をテーマとした新しい拡張パーツとしての開発は継続して
いくつもりです。こちらについては、もう一度企画を練り直して再度チャレンジする
つもりですので、これからも変わらぬご支援いただければと思います。
【03】……………………………………………………………………………………………
「マイキット150」の復刻制作がスタートしました!
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皆様ご期待の「マイキット」復刻版ですが、ようやく方向性が決まり、作業がスタ
ートしております。
以前、このメールマガジンでアンケートをお願いした結果、一番人気だったのは、
「マイキット200」でした。そのため、当初私たちもこの線で復刻の検討を行いまし
た。ところが、この商品は蓋に当たる部分にもびっしりとパーツがついているタイプ
で、部品数が非常に多く、そのため実験可能な回路数も多いものでした。これを復刻
するとなると、どうしてもかなり高価な商品となってしまいます。そのため、その後
部内でいろいろな検討を行った結果、アンケートで2番人気だった「マイキット150」
を復刻することに決定いたしました。
ただし今回は、マニュアルのみは新規製作することにいたしました。そのため、今
回は「完全復刻」という形にはなりませんが、今「マイキット」をよみがえらせるた
めには、この方が得策だと判断しております。
ところが、まだまだ難題は山積です。まず、部品数が少ないマイキット150といえ
ど、当時のパーツがそのまま手に入るわけではありません。入手可能、不可能なもの
を洗い出して、これを代替品でカバーして、ちゃんと動くのかを検証しなければなり
ません。この検証作業を、実験可能な150回路すべてについて行わないといけません。
この作業は、かつて学研電子ブロックEX-150の復刻のときにも行いましたので、お
手のもの・・といいたいのですが、実は、マイキットは、電子ブロックに比べてかな
り作業性が悪いのです。回路をブロックで組めるものと、端子をリード線で一つ一つ
つないで回路を作るものでは、ひとつの回路のチェックにかかる時間が全然違いま
す。そのため、この作業にどれくらい時間がかかるか見当がつかないというのが正直
なところです。
さらに、すべての回路をチェックして、パーツがフィックスしたところから、新規
製作のマニュアル編集作業がスタートします。そのため、今の段階では、いつ発売で
きるか、ちょっと予測がつかない状態です。進捗につきましては、逐次ご報告いたし
ますので、続報にご期待ください。
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(株)学習研究社
科学学習編集部企画開発室 湯本博文
e-mail:otonanokagaku@gakken.co.jp
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