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大人の科学メールマガジン No.17             平成15年6月13日発行
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 こんにちは。学研の湯本です。早いもので、もう来週から「光実験60」の先行予約
がはじまります。商品はSARSの影響も受けず、順調に生産が進んでおります。まもな
く日本に上陸しますのでもう少しお待ちください。


- Contents -
  01 -学研電子ブロックEX-150復刻版 拡張キット 光実験60 開発秘話(2)
  02 -大人の科学マガジン02号 7月17日発売決定!


【01】……………………………………………………………………………………………
  学研電子ブロックEX-150復刻版 拡張キット 光実験60 開発秘話(2)
…………………………………………………………………………………………………

 前回のメールでお話しました通り、今回の拡張キットは、日本と中国の現場がかな
り緊密な連絡を取り合いながら開発を行いました。その中で問題になったのは、
「色」に対する感覚の違いでした。

 拡張キットには3種類のLEDが使われています。特に今回の目玉であるフルカラー
LEDは、前回のメールマガジンでも紹介したとおり、R・G・Bの光の三原色を抵抗でコ
ントロールしながら発色させるものです。これをすべて発光させて「白」に光らせる
という実験がありますが、これをチェックしているときに、問題が表面化しました。

 フルカラーLEDに、ある程度の性能のばらつきがあるのは当然ですが、商品として
売るには、ばらつきの範囲を万人が「白」として認識できる範囲に抑えて、部品のラ
ンクを絞らないといけません。

 この試作を行っているときでした。中国から、「かなり青っぽくなる」といわれて
送られてきたものを日本のスタッフが見ると、誰がどう見ても「赤っぽく見える」と
いう状態で、どうしても中国のスタッフと話が通じません。散々メールや電話で議論
しましたが、どうしても解決せず、結局これは「感覚の違いとしか言えない」という
結論になりました。

 日本で売る商品ですから日本人の感覚に従ってもらわなければいけないわけで、結
局いくつもサンプルをつけて、「ここまでは許容できる」「ここまで振れると許容で
きない」という状態の実物をやり取りして、部品ランクを絞っていくことでこの問題
を解決していきました。色というのは非常に感覚的なものなのだという点に、改めて
気づかされたものでした。


 色の話とは別ですが、一度だけ肝を冷やした事件がありました。今回のキットに
は、ショットキーバリアダイオードという、電波を電流に変換するダイオードのブロ
ックが入っています。これを使って、携帯電話の電波をキャッチしてLEDを発光させ
るという実験なのですが、中国の現場から、「全く反応しない」という連絡が入り、
「部品不良か?」と大いにあせったことがあります。万が一、手配した量産部品にか
なり大きな品質のばらつきがあって、このような事態に至ると、これは発売日にも影
響する大事件です。営業担当の渋い顔を思い出して冷や汗をかいたのですが、これは
全く問題ありませんでした。原因は中国の担当者の携帯電話の周波数が日本では使わ
れていない周波数だったということでした。当然日本の携帯の帯域にあわせたダイオ
ードを使っているので、反応しないのはあたりまえなのです。それに気づかなかった
中国のチェック担当者が早とちりしてあわてて騒いだので、こちらも動揺してしまっ
たわけです。今となっては笑い話以外の何者でもありませんが、締め切りに追われて
開発していると、こんな些細な出来事でも冷や汗が出ることがあります。


 最後に、とても細かいポイントを一つご紹介しましょう。この拡張ブロックに使わ
れているブロックは、内側を良く見ていただくと、EX-150(復刻版)に使われている
ブロックとちょっと違いがあることが分かっていただけると思います。実は、このブ
ロックに使われている部品には足が短いものや、LEDのように基盤をブロックの中に
押し込めないといけないものがあります。そのため、ブロックの内部構造がEX-150
(復刻版)についているものと異なっています。そのため、今回の拡張ブロックは、
ほとんどが新しい金型を新たに作って制作されたものです。些細な違いですが、ちょ
っとマニアックなポイントですので、お知り合いに自慢していただけるかもしれませ
ん(笑)。


 さて、先行予約ですが、前回のメールでお知らせしたとおり、2003年6月18日
(水)10時受付スタートです。当日予約の詳細を記載したメールをお送りしますの
で、もう少しお待ちください。


【02】……………………………………………………………………………………………
  大人の科学マガジン02号 7月17日発売決定!
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 4月に発売しました「大人の科学マガジン01号」ですが、おかげさまで大変好評を
いただきました。皆様の中でも、お求めいただきましたお客様がたくさんいらっしゃ
ったと思います。改めて御礼申し上げます。
 おかげさまで、02号の発売もスムーズに決まり、現在下記の内容で鋭意製作中で
す。発売日が、ちょうど「光実験60」の発売日前日となりました。今年の7月はにぎ
やかな夏になりそうです。


■■付録は懐かしの『探偵スパイセット』!■■

 007シリーズや「スパイ大作戦」などでスパイがヒーローだった60年代、いろいろ
なスパイグッズが駄菓子屋さんなどで売られていました。当時は友だちとのスパイ
ごっこに使うだけでしたが、今思えば、それは化学実験グッズそのものでした。そん
な時代のテイストを踏襲しつつ、今の薬品なども加えて作ったのが今回のセットで
す。
 付録でできる化学実験は、次の5つです。

1)指紋検出
 アルミの粉と鳥の羽根を使い、コップについた指紋を採取します。

2)血液判定
 血痕かどうかをルミノール反応を利用して調べます。(血液型はわかりません。)

3)繊維判定
 お湯に溶かし、判定したい繊維といっしょに煮ると、煮た後の繊維の色の違いで、
 何の繊維かがわかります。

4)溶ける紙
 水に溶けやすいパルプから作った紙。水に入れると、たちどころに溶け、セルロー
スが水中に散らばります。

5)スパイメモ
 スパイペンで書いた透明な字を紫外線ライトで照らすと、書いた文字が光って見え
 ます。ペン液に混じった蛍光物質が紫外線に反応して見えるようになっています。


■■本誌は『大人の自由研究』特集!■■

 本誌の特集は「大人の自由研究」。夏は自由研究の季節。昔にもどって科学実験を
楽しんでみてはいかがでしょう?  
 編集部も自由研究として、野外実験にチャレンジ。それが、本誌の目玉企画「実験
村」です。読者といっしょにアルミを溶かして凹面鏡を作ります。次に集光した太陽
熱でバーベキューをしようという壮大な実験です。きれいな曲面の凹面鏡を作るた
め、溶かしたアルミを轆轤で回し、中心部と周辺部の高低差で自然にできる曲面を生
かしつつ、徐々にさましていく方法をとってみました。
 そのほか、100円ショップで買ってきたグッズを使って行う科学実験の紹介や、赤
青メガネを使って新しい方式で楽しむ立体写真など、お子さんとも楽しめる興味深い
記事が満載です。

 「大人の科学マガジン」は、来年度には定期刊にするべく、スタッフ一同頑張って
います。冬に出す予定の03号の付録としてはピンホールカメラを準備中です。撮影か
ら現像まで、自宅でできる本格的なセットを考えています。今後とも大人の科学マガ
ジンにご期待ください。

   =====「大人の科学マガジン」は書店でお求めください=====   

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(株)学習研究社
科学学習編集部企画開発室 湯本博文
e-mail:otonanokagaku@gakken.co.jp