****************************************************************************
大人の科学メールマガジン No.19 平成15年7月18日発行
****************************************************************************
こんにちは。学研の湯本です。昨日「大人の科学マガジン」の02号が発売となりま
した。また、今日は「光実験60」の発売日です。今年はなかなか梅雨があけませんが
大人の科学シリーズは、一足先に夏がスタートしました。
- Contents -
01 -「大人の科学マガジン」02号発売中です!
02 -拡張キット「光実験60」本日発売
03 -「弓曳き童子」開発秘話(1)
【01】……………………………………………………………………………………………
「大人の科学マガジン」02号発売中です!
…………………………………………………………………………………………………
昨日より、「大人の科学マガジン」の02号が書店店頭で発売されております。おか
げさまで01号はほぼ完売となりました。02号も充実の内容です。付録は、少年時代の
ワクワクがよみがえる「探偵スパイセット」です。詳しくは下記をごらんください。
大人の科学マガジン 02号
=> http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/magazine/index.html
今回より、学研OnlineShopで、大人の科学と一緒にお求めいただけるようになりま
した。学研OnlineShopでは、通常税込み3000円以上送料無料ですが、大人の科学マガ
ジンは単独でも送料無料となっております。02号も品切れが予想されますので、どう
ぞこの機会にお求めください。
大人の科学・大人の科学マガジン注文ページ
=> http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/start.asp
大人の科学マガジンは、店頭では書店のみで販売されます。そのため、一部の「大
人の科学」販売店では取り扱いがございませんので、ご了承ください。
【02】……………………………………………………………………………………………
拡張キット「光実験60」本日発売
…………………………………………………………………………………………………
お待たせいたしました。学研電子ブロックEX-150(復刻版)の拡張キット、「光実
験60」は、本日発売です。ご予約いただいた方はすでに体験されていると思います。
私宛にもたくさんの感想のメールをいただきました。すべてにお返事できないので、
大変申し訳ございませんが、たくさんの皆様に喜んでいただいているようで、開発者
冥利につきる思いです。
本日から、学研OnlineShopでも通常販売となりました。注文ページはこちら。
=> http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/start.asp
【03】……………………………………………………………………………………………
「弓曳き童子」開発秘話(1)
…………………………………………………………………………………………………
さて、開発進行中の「大人の科学Vol.10 弓曳き童子」ですが、ちょうど今、金型
製作が進行中です。お盆の頃には、この金型で作られた最初の量産見本(Try1を略
してT1と呼んでいます)が工場から上がってくる予定です。開発担当としてはちょっ
と息の抜ける時期なのですが、T1の仕上がりが、その後の開発期間に影響しますので
ちょっとどきどきしながら待っている状態です。
◆◇からくり人形との出会い◇◆
この「弓曳き童子」の開発、というより大人の科学シリーズにおけるからくり人形
のそもそもは、名古屋大学工学部教授の末松良一先生との出会いがきっかけでした。
末松先生とはエジソン式コップ蓄音機を最初に開発したとき(発売よりだいぶ前のこ
とです)以来のお付き合いです。先生が熱心に取り組まれている科学実験教室の素材
として利用できないかというお問い合わせをいただいたことがご縁で、懇意にさせて
いただいておりました。はじめてお会いしたときに、末松先生が作られた『機巧図彙
(からくりずい)』の現代語訳をいただきました。これが、後に大人の科学シリーズ
でからくり人形を開発することになった出発点でした。
・名古屋大学 末松教授のHP(からくり人形関連の情報が豊富です)
=> http://www.suelab.nuem.nagoya-u.ac.jp/~suematsu/karafro.html
その後2001年の秋、学研電子ブロックの復刻版の打ち合わせで、名古屋にある電子
ブロック機器製造(株)に行った時でした。せっかく名古屋に出張したので、名古屋
大学のキャンパスにも足を伸ばしてごあいさつに伺ったとき、研究室で九代目・玉屋
庄兵衛さんの作による茶運び人形を見せていただきました。この時すでに茶運び人形
の開発は決定しておりましたが、その動きには非常に感心いたしました。さらに、そ
の日のうちに末松先生の紹介で、九代目・玉屋庄兵衛さんのところに伺い、取材させ
ていただくことができました。その時幸運にもそこで弓曳き童子を見ることができた
のでした。(玉屋さんは名古屋在住で、末松先生とは旧知の間柄だったのです)
このとき見た弓曳き童子のインパクトは相当なものでした。すでに茶運び人形の開
発は決定していましたが、皆が「どうしても次にこれを作ってみたい」と思ってしま
うほどだったのです。まさにこのときの体験が今回の開発の原動力となりました。
田中久重作の「弓曳き童子」は現在下記の博覧会で展示されています。
・江戸大博覧会――モノづくり日本
=> http://www.mainichi.co.jp/life/culture/jigyo/event/art/2003/0624-edo.html
◆◇「次は弓曳き童子」にチャレンジ!◇◆ 幸いなことに「大江戸からくり人形」は一時品切れとなるほどの大ヒットとなり、
購入いただいた方から、からくりシリーズの第二弾のご要望を多数いただきました。
その中に、「弓曳き童子」を望む声がたくさんありました。スタッフの間でも、「次
は絶対あれにチャレンジしたい」という気持ちが強くありましたし、大ヒットの勢い
もあり、早速からくり人形第二弾として「弓曳き童子」を開発することが決定いたし
ました。
こうして「弓曳き童子」のキット化に取り組むことになったわけですが、開発責任
者の私としては不安がありました。何しろ相手は「からくり人形の最高峰」とまで言
われた、あの複雑な機構のからくり人形です。九代目・玉屋庄兵衛さんの監修をいた
だくことができ、玉屋さんが復元したものを元に製作することになったのですが、こ
れが本当にキット化できるかは、正直なところこの時点ではまだ自信をもてませんで
した。
◆◇「機構は簡単に」「動きは同じに」◇◆
さて、いざ開発するとなって、まず悩まされたのは、やはり不安に思っていた「弓
曳き童子」の構造の複雑さをどうキットにするかという問題でした。あのまま完璧に
復元すると、おそらく普通の人には作れない代物になってしまうと思われたのです。
さすがに「からくり儀右衛門」の異名をとった田中久重の弓曳き童子は、6本のてこ
と11本の糸で動きを制御するという複雑なつくりで、まさに匠の技で作られていま
す。また、糸の長さを楔を使って調節するようになっており、これもかなりの難物で
す。これをどうキットとして一般化できるかというのが最初の課題でした。
この段階でかなりいろいろな検討を重ねたのですが、結局一般の方に作っていただ
くキットとして商品にするためには、江戸時代の機構をそのまま再現するのではなく
組み立てやすい形に部品を変形して、極力たくさんの人がキットとして組み立てるこ
とを優先させるべきという結論となりました。ただし、動きについては絶対妥協した
くありません。そのため、ほとんど同じ動きをするということを最終目標とし、それ
を実現できる機構を考えていったのです。
ところが、これが結構大変なハードルになってしまいました。なにしろ、「機構は
簡単に」「動きは同じに」ということですから、相当な工夫をしなくてはいけないわ
けです。
結果的に、糸を7本に減らして、てこを特殊な形状をした変形スライドに変えて制
御する試作品が完成しました。糸の本数を減らすことで、だいぶ楽に組み立てられる
ようになったと思います。これは、江戸時代の匠の作品を基に、現代の「大人の科
学」としてのアイデアと技術を動員して、万人向けに昇華した作品だと自負していま
す。
◆◇「大人の科学」と「名古屋」の縁◇◆
ところで、大人の科学Vol.7の学研電子ブロック。Vol.8の大江戸からくり人形、そ
してVol.10となる弓曳き童子と、大人の科学では、立て続けに「名古屋」に縁のある
作品が生まれています。しかも、Vol.7とVol.8は、記録的な大ヒットとなった商品で
す。どうも、大人の科学シリーズにおける「名古屋」は、極めて縁起の良い土地のよ
うです。この「名古屋つながり」からうまれた、今度の「弓曳き童子」もきっと大ヒ
ット間違い無しではないか? と期待しています。
だいぶ長くなってしまいましたので、機構の工夫などは、次回以降さらにご紹介し
たいと思います。どうぞご期待ください。
----------------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------------
(株)学習研究社
科学学習編集部企画開発室 湯本博文
e-mail:otonanokagaku@gakken.co.jp
|