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大人の科学メールマガジン No.29 平成16年1月5日発行
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皆様明けましておめでとうございます。学研の湯本です。年末年始に新聞に広告を
出しました。そのためだいぶメールマガジンの読者が増えております。今回はじめて
メールを読んでいただく方もたくさんいらっしゃると思います。皆様今年もどうぞよ
ろしくお願いいたします。
元旦の新聞広告で宣言しましたとおり、今年「大人の科学」シリーズは累計50万台
達成に向けて頑張っていきます。昨年末までの累計は38万台ですので、ちょっと大げ
さじゃないの? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今年は、シリーズ
始まって以来の新製品ラッシュの年になりますので、それほど無理な目標でもないと
思っています。ぜひ今年もこれまでと変わらず応援いただければ幸いです。どうぞよ
ろしくお願いいたします。
- Contents -
01 -「メカモ」復活秘話
02 -「メカモ」ヒストリー(1)
03 -「メカモ」開発状況
【01】……………………………………………………………………………………………
「メカモ」復活秘話
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私が大学を卒業して学研に入社したのは1977年のことでした。もともと「○年の科
学」の付録が作りたくて学研に入社したのですが、最初は営業に回されまして、新人
研修が終わった後、当時の学研大阪支社に赴任いたしました。その頃、メカモは学研
のトイホビー部門の主力商品の一つで、当時見本市などにたくさん商品を展示したり
しておりました。赴任したばかりの大阪でも見本市がありました。するとその後に大
量の見本の残骸や部品供給のために使われた商品などが残ります。私は、それらを使
って随分たくさんのメカモを組み立てました。私のメカモ初体験はこのときになりま
す。
余談ですが、私はその後大阪で2年間営業を経験したあと、「科学」の編集部に配
属になりました。これで付録が作れると思ったのですが、念願の付録開発に従事する
ようになったのは編集長になった1990年からでした。なぜなら、あの付録というのは
売上に直結する重要な部分ですので、編集長が開発担当を行うということになってい
たからです。
2002年の4月に、学研電子ブロックを復刻して、一時製造が追いつかないほどの反
響をいただき驚いていたときに、実はたくさんのユーザーの方から「次はメカモを復
刻してくれ」というメールをいただきました。復刻版でこれほど喜んでいただけるな
ら、やはりメカモもやるべきだろうということになり、2002年10月に基礎調査を開始
しました。このとき、当時学研の社員で、そもそもの開発者である故・富谷氏(後
述)に師事してメカモ開発に従事した石山正三氏にお会いしたのです。
石山さんは、すでに定年退職されている方ですが、学研のトイ開発に貴重な足跡を
残された方です。お会いしてメカモの開発をしたいので協力していただきたいと相談
したのですが、実はこのときには色よい返事をいただけませんでした。
石山さんは、現在も某工業大学で週1回機械工学関係の講義をされているほどの方
なのですが、当時は大病をされた直後であったことや、他にも活動されているボラン
ティア関連の仕事が忙しい等の理由がありました。ただ、口には出しませんでしたが
「今メカモをやって、本当にちゃんとしたものが作れるのか」「あれはおもちゃじゃ
ないんだ。簡単に考えてもらっても困る」といったところが素直なお気持ちだったの
ではないでしょうか。石山さんから見れば、私などまだまだ駆け出しのひよっこです
から、「あの複雑な商品がお前にできるのか」という疑問を持たれるのも当然だった
と思います。
色よい返事をいただけなくて悩んでいたところに、非常に強力な助っ人が現れまし
た。実は、学研の関連会社で、香港でトイ関係の製作を行っている会社があります。
ここに長年出向していた黒沢という社員が、帰国して大人の科学製作チームに加わる
ことになったのです。この黒沢氏は、まさに石山さんの弟子と言える人でして、かつ
てのメカモを製品化したチームの一員です。
結局石山さんも「黒沢君が担当するなら、ぜひやりたい」「実はかつてのメカモシ
リーズでは、やりのこしたことがある」ということで、今回の復活プロジェクトが動
き出したのです。
ところで、復刻版というと、以前のものをそのまま作るということですが、今回の
メカモは、石山さんが最初から設計しなおした全く新しいものです。そのため、「復
刻」ではなく、「復活」という言葉を使うことにしました。石山さんも、かつてのメ
カモシリーズで納得できなかった部分を存分に直していただき、一段と洗練されたシ
リーズが実現する予定です。ご期待ください。
【02】……………………………………………………………………………………………
「メカモ」ヒストリー(1)
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そもそも、学研の「メカモ」シリーズの原型となった機械生物ロボットを開発した
のは、故・富谷龍一さんという方です。この方は、日本の自動車工学の草分けとも言
える方で、千葉大工学部を卒業された後、昭和9年に自動車製造株式会社(後の日産
自動車)に入社し、ダットサンなど、数々の名車の設計に関わりました。後にトヨタ
自動車の技術顧問も務めるなど、まさに日本の自動車技術の歴史そのもののような方
です。
この富谷さんが、あるとき、車の懸架装置の研究のさなかに浮かんだアイデアを元
に、日本のロボット工学の第一人者である東京工業大学の森正弘教授(当時・現名誉
教授)と共同で作り上げたロボットがメカモの原型です。
これは、自然の生物に似たアルミ製のロボットでした。いずれも1個のモーターの
回転運動を、ギアやクランクを使って複雑な動きに変換して全体を動作させるという
ものです。これらは機械工学の観点から、「いかに少ないエネルギーで、しかも簡単
な構造で、理にかなった動きをさせられるか」ということを追求した結果生まれたも
のでした。富谷さんによれば、「これらを追求した結果、たまたま動物の動きに似た
ものになった」ということだそうです。
当初、これらのロボットは、メカニカル+アニマルの造語で「メカニマル」と名づ
けられました。昭和43年(1968年)頃の事です。後にこれが学研に持ち込まれて「メ
カモ」という名前で発売されたのは昭和47年(1972年)のことですから、これを商品
化するまでまだ約4年の歳月が必要だったのでした。(以下次号)
【03】……………………………………………………………………………………………
「メカモ」開発状況
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さて、現在開発中のメカモですが、以下の3タイトルです。今回3タイトル全ての写
真をご覧いただきます。クラブ(カニ)は以前ご覧いただいたものより進化したもの
で、かなり最終形に近いものになっています。
クラブ(カニ)
=> http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/img/m_kani.jpg
センチピート(ムカデ)
=> http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/img/m_mukade.jpg
インチワーム(シャクトリムシ)
=> http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/img/m_shaku.jpg
以前のメカモは、0.7mm厚の軟鉄にメッキを施したものがボディに使われていまし
たが、今回のものは1.5mm厚のアルミを使いました。ビールなどのアルミ缶に使われ
ているのと同じ高剛性のアルミを使用しておりますので、これによってボディの強度
は以前のものとは比べ物にならないほど増しています。また、以前はボディの各部に
ものすごくたくさんビス止めをする部分があった(つまり部品同士をビスで接合する
箇所がものすごくたくさんあった)のですが、今回はリベットで最初から接合させる
ことで、ビス止めの箇所を大幅に減らしました。アルミボディの採用と、ビスの数を
減らしたことで、以前の倍以上の厚みの金属を使いながら、ほぼ同じ重量で納めるこ
とに成功しています。
さらに以前はコントローラーと本体が線で結ばれていましたが、今回は赤外線によ
るリモートコントロールを実現しました。組み立ても、使用感もかなり向上したと思
います。センチピート(ムカデ)の写真の手前に写っているのが、コントローラーの
モックアップです。
発売日はまだ未定ですが、3つを一挙に発売するのは無理なので、春から1台ずつ順
次発売の予定です。第一弾は4月か5月に発売できるよう、開発陣一同頑張っており
ます。ご期待ください。
次号も「メカモ」情報満載でお届けする予定です。どうぞご期待ください。
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科学ソフト開発部教材企画開発室 湯本博文
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