****************************************************************************
大人の科学メールマガジン No.44 平成16年9月30日発行
****************************************************************************
こんにちは。学研の湯本です。東京もようやく秋めいてまいりました。バタバタし
ているうちに、もう10月の声を聞くことになってしまいました。10月には先行予約も
行います。もうすぐスタートですので、ご期待ください。
- Contents -
01 -「スターリングエンジン」開発ストーリー(1)----骨董市での運命の再会!
02 -「からくり段返り人形」開発ストーリー(1)----水銀の代わりを求めて・・
03 -「スターリングエンジン」「からくり段返り人形」先行予約は10月18日〜!
【01】……………………………………………………………………………………………
「スターリングエンジン」開発ストーリー(1)----骨董市での運命の再会!
…………………………………………………………………………………………………
私がスターリングエンジンをはじめて知ったのは、1992年か93年ごろのことだった
と思います。実際私も、このエンジンのことを以前から知っていたわけではありませ
んでした。少し前に、学校の理科の先生の集まりで、スターリングエンジンについて
アンケートをしてみたことがあります。そこでも2割くらいの先生しか知らなかった
ので、本当に科学史からも忘れ去られたエンジンといってもいいのかもしれません。
私の場合は、東京の東急ハンズで、6万円くらいで売られているものを見て、初め
て知りました。その商品が欲しかったのですが、さすがに6万円にはちょっと躊躇し
てしまい、そのときはそのままになってしまいました。これがきっかけとなり、スタ
ーリングエンジンのことを調べ始めたのです。
その後何年かして、私の自宅の近くで時々開かれている骨董市を見に行ったとき、
スターリングエンジンとの運命的な再会をしました。私は、壷や皿という骨董品には
ほとんど興味がないのですが、骨董市に行くと、ときどき掘り出し物のメカが見つか
るので、わりと足を運んでいます。昔の人が考えたメカで、実際に実用品として使わ
れていたものには、時に良く出来たものがあり、そんなものを探すのが楽しみなので
す。
その時発見したのは、なんとスターリングエンジンで駆動する扇風機でした。骨董
屋の主人の話によると、100年以上前のイギリス製で、ビルマに駐留していたイギリ
ス軍が実際に使っていたものでした。これを見てどうしても欲しくなってしまい、
5万円をはたいて購入したのが私のスターリングエンジン初体験です。
私が購入したスターリングエンジン扇風機
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/img/44-senpuuki.jpg
この骨董の扇風機を自宅で実験したところ、見事に動作して、さらに感動が深まっ
たというわけです。このころ、まだ大人の科学シリーズはスタートしていませんでし
たが、いつかこういう商品を作ってみたいという夢は、そのころからずっと持ち続け
ていました。
ところで、スターリングエンジンについては、こんなこともありました。私たちの
編集部で昔から働いていただいているイラストレーターの先生がいらっしゃいます。
この方は、ラジコン模型業界ではちょっとした有名人なのですが、お仲間にスターリ
ングエンジンを自作した人がいて、その動作風景を撮影したビデオをわざわざ見せて
いただきました。このとき、先生は私がスターリングエンジンの骨董品を買ったとい
うことはご存じなかったのですが、「こんな面白いものがある」ということで、わざ
わざビデオを見せていただいたわけです。スターリングエンジンには、実際に動いて
いるところを見ると、なんだか妙に興奮して、人に伝えたくなるという不思議な魅力
があります。(続く)
動画を撮影いたしましたので、ぜひご覧ください。
=>for WindowsMediaPlayer
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/move/engine1_hight.wmv(ブロードバンド)
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/move/engine1_low.wmv(ナローバンド)
=>for RealPlayer
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/move/engine1_hight.rm(ブロードバンド)
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/move/engine1_low.rm(ナローバンド)
【02】……………………………………………………………………………………………
「からくり段返り人形」開発ストーリー(1)----水銀の代わりを求めて・・
…………………………………………………………………………………………………
からくり人形は、最初の「大江戸からくり人形」(=茶運び人形)が大ヒットした
後に、シリーズ化を望む声がたくさん寄せられて、一連のシリーズとして企画がスタ
ートしておりました。弓曳童子の開発を優先させましたが、ほぼ同時に、今回の段返
り人形の企画もスタートしておりました。
ただ、何度も書いておりますように、かつて水銀が使われて動作していたものを、
どうやって別のもので実現するかというのが悩みの種でして、今回の方法にフィック
スするまでには、試作品だけで6〜7体も作っては壊し・・というプロセスを経ており
ます。
実は、今回の動作方式につきましては、現在特許を申請中のため、まだここで詳し
くお知らせすることができません。今は「鉄球を使って実現した」ということだけに
とどめさせてください。この件は、特許が下り次第ご報告できると思います。
実は、一番最初は、鉛の小さな球を使って試作しました。一応このときも
何とか動くものを作ることができました。ただ、これは実際の水銀の重心移動で動く
ものとは動作原理がちょっと異なっており、パワーで強引に持っていくような印象の
ものでした。
そんなとき、科学技術史資料研究所の東野進さんが、「水銀を使わない段返り人
形」を完成した、という新聞記事を見て、大阪在住の東野さんのところに伺いまし
た。ここで見せていただいたのは、鉄球と、少し小さな鉛玉を使って動かすものでし
た。このとき、私たちが作った試作も見ていただいたのですが、「この方法はドイツ
で作られた人形に使われている仕組みであって、江戸のからくりを模したものではな
い」と言われました。
そのまま東野さんに今回の企画の監修をお願いし、東野さんの作られた人形の設計
図なども見せていただきました。しかし、量産するには、そのままでは製品化できま
せん。ここからが、私たちの本当の意味のスタートでした。
「段返り人形」の開発が、それまでと一番違ったのは、「うまくできるかどうかわ
からない」という点でした。これまでの茶運び人形や弓曳童子というのは、カムやク
ランク、ギアの組み合わせで動作を制御するというものでしたので、機械的な設計さ
えクリアすれば、何とか商品化にこぎつけることはできるという見通しが持てたので
す。しかし、「段返り人形」に限っては、メカの組み合わせでは実現できません。こ
うして、私たちの試行錯誤の日々が始まりました。(続く)
こちらも動画を撮影いたしましたので、ぜひご覧ください。
=>for WindowsMediaPlayer
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/move/dan1_hight.wmv(ブロードバンド)
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/move/dan1_low.wmv(ナローバンド)
=>for RealPlayer
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/move/dan1_hight.rm(ブロードバンド)
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/move/dan1_low.rm(ナローバンド)
【03】……………………………………………………………………………………………
「スターリングエンジン」「からくり段返り人形」先行予約は10月18日〜!
…………………………………………………………………………………………………
11月18日発売の大人の科学シリーズ最新作の先行予約は、10月18日からと決定いた
しました。当メールマガジン読者限定の恒例企画です。いつものように10月18日朝に
申し込みページのアドレスをメールでお知らせいたします。今回もお得な価格を設定
予定です。詳細は次号にてお知らせいたしますので、どうぞご期待ください。
(株)学習研究社
科学ソフト開発部教材企画開発室 湯本博文
e-mail:otonanokagaku@gakken.co.jp
|