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大人の科学メールマガジン No.71              平成18年1月5日発行
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 皆様明けましておめでとうございます。学研の湯本です。こちらは本日から仕事を
開始いたしました。皆様どのようなお正月を過ごされましたでしょうか。

 このメールマガジンも、前身の「電子ブロックメールニュース」の第一号を送信し
たのが平成13年の12月20日のことでしたので、足掛け5年を迎えるメールマガジンと
なりました。これからもスタッフ一同がんばって行きますので、本年も「大人の科
学」「大人の科学マガジン」に変わらぬご支援をいただきますようお願いいたしま
す。


- Contents -
  01 -大人の科学新作「真空管ラジオ」について


【01】……………………………………………………………………………………………
  大人の科学新作「真空管ラジオ」について
…………………………………………………………………………………………………

 今回から、次回作「真空管ラジオ」についてのストーリーを始めたいと思います。
ラジオというのは、やはり科学工作の世界では基本といえるアイテムなのではないか
と思います。これまでも、大人の科学では鉱石ラジオを商品化してきました。その流
れの中で、次は真空管を使った作品を作ってみたいと思っていました。

 そんな時、知り合いの紹介で、ある方にお会いしました。香港を拠点にオリジナル
の真空管アンプを製作・販売する一方、ラジオの骨董品の収集家でもある方でした。
その後、この方のコレクションを見せていただく機会がありました。
 先人の様々な工夫が詰まった骨董ラジオを見ているうちに、やはり大人の科学とし
て、これらの工夫を現代によみがえらせたいとの思いが徐々に現実のものとなり、今
回の企画が具体化していったのです。

 さて、真空管ラジオの製品化となると、当然真空管を調達しなければいけないので
すが、これがなかなか大変でした。というのも、現在製造されている真空管というの
は、基本的に高級オーディオ用がほとんどであり、また生産国も中国かロシアに限ら
れているようです。さすがにこれを使うと相当な金額の商品になってしまいます。か
といって、専用のものを設計するほどのロットを販売することも難しそうです。

 いろいろと手を尽くして当たっているところに、中国に昔の真空管のデッドストッ
クがかなりあるという話を聞きつけて、調べることになりました。すると、30年くら
い前に軍用に使われていたそのものと、同等品の真空管のストックがあちこちにある
という情報をキャッチしました。そんな昔の真空管のデッドストックを使って、商品
になるのかというのが不安だったのですが、実際に取り寄せてみると、古い真空管と
はいえ、軍用に使われていたほどの物ですので、きわめて安定性が高いし、不良率も
非常に低いことがわかりました。これは、真空管時代の最末期に軍用として使われて
いた真空管らしく、それまでの不良などが改善されて、非常に安定していた時期のも
のだということもわかりました。

 1976年に、当時ソビエトの最新鋭戦闘機ミグ25が函館空港に強行着陸した事件があ
りました。このとき、この戦闘機の一部回路に真空管が使われていて、当時は東側の
技術が劣っている証拠と報道されていましたが、実はこの時期の真空管というのは、
それまでの不具合を修正して作り上げられてきたものなので、安定度が非常に高いも
のだったのです。また、これは余談ですが、真空管は構造上電磁波などでも誤動作す
ることが少なかったので、むしろ軍事用には当時のトランジスタよりもいい面もあっ
たということでした。

 今回手に入れたのは、そんな時代の真空管ですから、テストした結果は非常に良好
でした。外見上ちょっと傷などがあるものが混じることがあるというデメリットはあ
るのですが、性能は申し分ありません。また不良率もきわめて低いものでした。もち
ろん商品として組み込むためには、事前の全品チェックは必須ですが、この程度の不
良率なら十分行けると判断したのです。

 そこで、中国各地で一体どれだけの真空管が確保できるか、調査を開始しました。
製品には3種類の真空管を使いますので、それぞれが何本確保できるかを調べたとこ
ろ、何とか各種類製品化できそうな数量が確保できるめどがたったのです。もちろ
ん、真空管のサプライも確保した上での数です。こうして大人の科学としての真空管
ラジオが発売できることになったのです。

 ちなみに、今回使用した真空管は、1K2、1B2という種類と、2P2もしくは3S4のどち
らかという3種類です。1K2、1B2、2P2というのは、中国での表記でして、それぞれア
メリカ・日本の表記に直すと、1T4、1S5、3S4となります。もともと、中国が西側の
真空管をコピーして作っていたものらしく、全くの同等品です。1K2と1B2は、全てが
真空管表面にその印字がされているのですが、2P2の一部には、西側表記である3S4と
印字されている真空管が混じっています。そのため、パッケージなどには敢えて
「2P2もしくは3S4」という表記をすることにしました。お求めいただいたパッケージ
にどちらの印字が入っているかはわからないので、このような表記にしてあります。

 また、真空管の表面には、「北京」などの地名が印字されており、これもいくつか
のバリエーションがあるようです。特に貴重なのは、○印の中に「軍」と印字されて
いる真空管です。これは正真正銘、軍用に使われていた真空管です。もちろん軍用と
そうでないものの性能差はありませんので、貴重かそうでないかというだけの違いで
すが、お求めいただいたキットにこの印字のある真空管が入っていれば、それは
「ラッキー」だったと思っていただいて良いと思います。

「軍」印の真空管
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/img/71-DVC00005.jpg

「北京」印の真空管
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/img/71-DVC00009.jpg

 このようにして、真空管の確保はできました。次回は、この製品の更なる工夫、特
にバリコンについてのお話をしたいと思います。どうぞご期待ください。

 最後に、今回の製品の写真をご覧に入れたいと思います。デザインにも割とこだ
わったつもりです。皆様にも気に入っていただけると良いのですが・・。
(以下次号)

真空管ラジオ
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/mailnews/img/71-016.jpg


(株)学習研究社
科学ソフト開発部教材企画開発室 湯本博文
e-mail:otonanokagaku@gakken.co.jp

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