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学研電子ブロック情報メール Vol.2 平成14年1月16日発行
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「学研電子ブロック」ファンの皆様こんにちは。学研の湯本です。ようやく中国か
ら帰ってきました。
中国でのチェックの結果、当初の予定通り製作を進めることができそうです。その
ため4月下旬の発売日を4月27日(土)と決定いたしました。
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学研電子ブロックEX-150 発売日決定!
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2002年4月27日(土)
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全国「大人の科学」販売店にて発売
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販売店は、現在「大人の科学」シリーズを販売しているお店となります。全国の販
売店のリストは下記にありますので、ご確認ください。
「大人の科学」販売店一覧
http://kids.gakken.co.jp/kit/hanbaiten/index.html
また、前回のメールでお知らせしました先行予約ですが、オンライン限定で2月中
旬に行う予定です。こちらの詳細はまだ決定しておりませんので、これについては決
まり次第お知らせいたします。
さて、前回のメールで「学研電子ブロック」の思い出を募集したところ、実にたく
さんのメールをいただきました。いただいたメールのひとつひとつが「学研電子ブロ
ック」への愛情あふれるメールで、私たちも大変感動いたしました。まだまだ募集中
ですので、どうぞご応募ください。いくつかご要望やご質問もいただきましたが、な
るべくそれらにお答えする方向で、今回も復刻の舞台裏をご披露いたします。
「学研電子ブロックの思い出」はこちらにメールでお送りください
otonanokagaku@gakken.co.jp
◆完動品が手に入らない!----------------------------------------------------
さて復刻が決まり、とりあえず昔のEX-150を手に入れようと、社内を探し回りまし
たが、保管されていたものに完動品は見つかりませんでした。一見保存状態が良くて
も、ブロックが一部破損していたりしているものばかりでした。これでは作業が進め
られません。そこで恥ずかしながらネットオークションで購入することにしました。
大人の科学を最初から一緒に担当している金子が某ネットオークションで探して落札
しました。EX-150は、割とオークションには良く出ているようで、すんなり落札にも
成功しました。ただ、出品した方が彼のメールアドレスを見て、「学研さん、また電
子ブロックやるんですか?」といわれたそうです。
◆価格はいくら?------------------------------------------------------------
当時の製品を手に入れ、復刻版の価格検討に入りました。前回の情報メールでもお
知らせしましたが、本体の金型を一から起こしますので、復刻版とはいえ、実際は新
製品を作るのとまったく同じです。国内で生産する場合の見積もりを行ったところ、
2万円程度になってしまいました。もともと「当時高嶺の花だった商品でも大人にな
った今なら買える」という声に押されて復刻を決めた経緯があります。さすがに2万
円以上となるとかなりの人が購入をあきらめてしまうのではないかと思い、結局国内
生産をあきらめて中国での生産ということになりました。私たちとしては何としても
1万円程度で発売したいと考えていたのです。
そこで、中国の会社ですが、実は、中国といっても発注先は中華民国、台湾の会社
です。EXシリーズがかつて海外でも販売されていた時期があり、海外版を作っていた
のがそこの会社でした。ただし、当時生産に携わっていた人は今はいません。本体も
ブロックも、できる限り現物に近づけてもらうことを条件に、ここでも一からの製作
ということになりました。さらに実際の生産工場は中華人民共和国の深セン(シンセ
ン:香港から車等で約1時間のところ)というところです。(ちなみに学研には当時
のEX-150の開発担当者がまだおります。今回の復刻版でも大活躍しており、今回の中
国も彼と一緒に行きました。永岡といいます。)
◆トランジスタSTR-EとSTR-C--------------------------------------------------
外見はかなりの精度で復刻できたと思いますが、やはり25年以上前と現在では様々
な状況が違います。特にトランジスタには悩まされました。
中国工場からあがってきた最初の試作品のテストは、昨年11月には始まっていまし
た。試作機を使い、マニュアルにある150種類の回路を一つ一つ組んでテストを繰り
返します。ところが、どうしても再現できない実験があるのです。原因はトランジス
タでした。
問題となったのはSTR-EとSTR-Cの2種類のトランジスタです。特にSTR-Eは2SC372Y
相当品ということで当時もバラツキがあったようなのですが、現在372は手に入りま
せん。やむなく1815を使用しました。しかし、同じものでも考えていた以上にランク
による差が激しく、物によって同じ実験でもできたりできなかったりという状態が続
きました。ランクのちがう1815を取り寄せ、150の実験ごとに動作確認をする日々が
続きます。金子と一緒に来る日も来る日もブロックを組んでは実験を行いました。
ひととおり作業を終え、ランクの範囲をほぼ特定しました。それでもできない、ま
たは結果が曖昧な実験があります。実験そのものは変えたくなかったので、同じ結果
がでるようにブロックの並べ方を変更することにしました。(昔のものをお持ちの方
はマニュアルを見比べてどこがどう変わったのか、調べてみるのも楽しいかもしれま
せん。)
当初はこの作業もおもしろかったのですが、毎日毎日こればかりやっていたので、
しまいには寝床に入って目をつぶると、ブロックの配線図が目に浮かぶようになって
しまいました。
◆4月27日発売に向けて------------------------------------------------------
これら地道なチェックを繰り返し、ようやく量産への最終段階を迎えることができ
ました。今回の中国での現地チェックでその他の問題点も解決していたことを確認し
ました。いよいよ量産開始です。
発売日がなかなか発表できなかったのは、中国の旧正月の問題がありました。中国
は旧暦(太陰暦)でお正月を祝います。いわゆる旧正月です。今年は2月中旬からが
この期間に当たり、この間1〜2週間生産はストップし、労働者は故郷に帰ります。
日本での全品の検品作業の時間を考えると、初回生産の1万台は、旧正月前に製造完
了しないとなりません。しかし、今回のチェックでもし何か問題があると、旧正月前
に製造を終わることができず、発売日が相当遅れてしまう可能性があったのです。
◆好評なら増産も------------------------------------------------------------
もし、初回生産分の販売が好調でしたら、追加増産を行います。ただし、増産にか
かる時間が正確に読めません。中国の工場では、旧正月明けに工場が再開したとき、
同じ労働者が戻ってくるとは限らないのだそうです。労働力の流動性が大変高いとの
ことなので、そうなると、結局ひと月近く量産に入れないこともありえます。いつ増
産の決定を行って発注するかという問題もありますが、追加生産分の発売は早くても
夏以降ということになると思います。4月27日発売分が早い段階で売り切れてしまう
と、次回入荷まではすこし間があいてしまうかもしれませんがご了承ください。
また長いメールになってしまいました。ネタはまだまだあるのですが、今回はこれ
くらいにしておきましょう。次回は先行予約の詳細が決定した段階で発行することに
なると思います。どうぞご期待ください。
(株)学習研究社
科学学習編集部教材開発室 湯本博文
e-mail:otonanokagaku@gakken.co.jp