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緊急連載:ふろくシンセのできるまで

6.入出力回路を組み込む

 これまで触れていませんでしたが、ふろくシンセには「入力」と「出力」のためのジャックがついています。企画がスタートした当初、入出力をどうするか、それはちょっとした検討課題でした。テルミンminiのときに本誌記事内で出力端子をつける改造を紹介したところ、多くの方が改造に取り組んでくださいました。そこで、今回は何とか出力だけは前もって用意したいと思っていました。ふろくを組み立てた段階ですぐに音が出せるよう、スピーカー内蔵も必須なのですが、出力があればアンプにつないで、内蔵スピーカーでは到底出せないような太く豊かな音を鳴らすことができます。問題は原価との兼ね合いでしたが、意外にもすんなりとOKが出ました。

 

▲ふろくシンセSX-150の入出力部分。

 問題は入力です。写真をご覧いただけばわかる通り「INPUT」ではなく「EXT.SOURCE」という表現にしてあります。そもそも、「もしも入力がつけられるなら、そこにはテルミンminiをつなげるようにしたい」というのが編集部の思い。Gさんの最初の回路にもテルミンmini用の入力がありました。それは、VCOとVCFの間に配置され、フィルタによってテルミンの音質を変化させるものでした。編集部で想像していたものと、ちょっと違っていました。フィルタだけでなく、テルミンを弾きながら、その音に“ピロピロ”とLFOをかけてみたい。

 

▲テルミンminiをシンセのコントローラとして使う。

 そこで、Gさんに「テルミンを使ってLFOをかけた『ピロピロ音』を出したい」との要望を出しました。Gさんからは「それだと、今の回路ではダメですねえ。ちょっと部品を追加すれば、できるんじゃないかなあ。う~ん、やってみましょうか」と、いう返事。いつもより歯切れの悪い言葉の向こう側に“ちょっと難しいかもしれない”という雰囲気が漂っています。それでも「できません」と言わないところがGさんの素晴らしいところです。いや、すでに編集部の無謀な要望に慣れてしまっていたのかもしれません。Gさんから、「回路ができました」の報告といっしょに、「これ、おもしろいですねえ。けっこうはまります」との感想が返ってきました。実装したテルミンminiコントローラ用入力はテルミンの音声信号を取り込むのでなく、簡単なFV変換回路を間にはさんでいます。Fは周波数、Vは電圧です。この回路により、シンセサイザーの「ピロピロ音」の高さをテルミンでコントロールすることができます。この「コントローラ用入力」端子を装備しておけば、あとでいろいろな実験に応用できそう、という企みもありました。

 ふろくができてくるとともに、本誌の取材も本格的にスタートしていました。

ふろく:アナログシンセサイザーの概要はこちら



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