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本誌連動・動画特集:ふろくで遊びました。

ムービー制作・文/眞形隆之 写真/ミワタダシ

本誌では、さまざまな音楽関係者の方たちに、ふろくのテルミンを演奏(?)してもらいました。ここでは電子楽器をよく知る人物として、松武秀樹さんにふろくで遊んでもらったときの映像をご紹介しましょう。

松武秀樹 ふろくのテルミンで遊ぶ

 YMOの中央の位置で大きなデジタル装置を操る博士。当時、そのような目で見ていた子供たちがたくさんいた。

 松武さんは、ふろくのテルミンを手に持ち、かなり関心を持った様子。その姿は、まるで、おもちゃを与えられた子どものようで、さまざまなアプローチで音を出そうとする。テルミンのアンテナに手を近づけたり、離したりして、音の変化を楽しんでいる。もはや楽器としては見ていない。(動画で見ることができるが)無邪気に遊んでいる姿だけを見たら、誰も日本シンセサイザープログラマー協会の会長だとは気づかないだろう。

MOVIE

松武秀樹 ふろくのテルミンで遊ぶ

まつたけひでき/作曲家、編曲家、コンピュータープログラマー。大阪万博で聴いたシンセサイザーの演奏を聴いて興味を抱く。坂本龍一のアルバムに参加した後、YMOのサウンドプログラマーとして数々の伝説的なレコーディングを経験。『4人目のYMO』と呼ばれる。サンプリンブマシン、MIDI規格、ソフトウェアシンセサイザーなど、電子楽器の進化に大きな影響を与え続けている一人。

ムービーをご覧頂くには、Flash Playerが必要です。お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。

 松武さんは、一通りふろくに触れてみて「これは面白い」と唸った。真っ先に、ふろくが改造されていることを指摘して「ちょっと回路なんか詳しい人は、みんな改造したくなりますよね。俺もアンプを買ってきて改造しよう」と、子どものように笑った。

「最近は、創作して遊ぶってことを、みんな忘れているように思うんですよ。すでにできあがっているものを使うだけで目的を達してしまう。それはとても残念なことですね」 楽器とは無縁の人でも、自分の表現したい音楽が作れるように。そんな若い人たちの夢を松武さんはシンセサイザーを進化させるというカタチで応援してきた。

 “改造”という言葉に心を躍らせていた子供の頃は、考えて、作って、表現して、楽しむことが、当たり前のようにできていたはず。大人になって忘れてしまった、あの気持ち、きっと、ふろくのテルミンの音が思い出させてくれるに違いない。

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