ふろく専用ゾーンプレートを作る
ゾーンプレートは透明なフィルムに、黒いしまを印刷したもの。焦点距離によって、しまの間隔や数が決まり、それらは公式から算出できる。それを作図系のソフトで描き、白黒反転させ拡大したものをネガフィルムで撮影すると、フィルム上に撮影用のゾーンプレートができる。このようにすれば、個人でもゾーンプレートを製作可能…、と海外のサイトなどで紹介されている。
となれば、編集部で製作し、その作り方を読者に紹介するという企画を! と、早速、作ってみることにした。しかし、ふろくに合ったゾーンプレートを作ることは容易ではなかった。
編集部では難航
結論から言うと、ふろくのカメラ用のゾーンプレートを製作するには、焦点距離(フィルムまでの距離)が短かすぎた。焦点距離が短くなると、ゾーンプレートの直径が小さくなり、しまの幅も極めて狭くなる。ふろくの焦点距離は、25mm(ステレオ)と30mm(パノラマ)。この値で計算すると、ゾーンプレートの直径は1mmにも満たない0.6mmほどになってしまう。上記のような手法でこの精度を出すのはとても難しく、フィルムも黒が透けない特殊なフィルムが必要な上、現像も通常の現像液ではできないらしい。こうして、編集部でのゾーンプレート製作は暗礁に乗り上げた。
Doctor Andに依頼
そこで、HOLGA用フィッシュアイなどの生みの親、ピンホールカメラにも詳しいDoctor Andに、ふろく専用のゾーンプレート製作を依頼してみることにした。Doctor And曰く、「欧米では、レンズとは違う仕組みで写すゾーンプレートはおもしろがられるけど、日本ではちょっとウケないんだよねえ…。ピンホールよりもボケちゃうから、写りを気にする人には、“何だこれ?”って感じになっちゃうんだよ」。そこは『大人の科学マガジン』、カメラ雑誌ではなく科学誌ですから、きっと、読者の皆さんは興味をもってくれますよ、と説得(単純にふろくのカメラでどんなゾーンプレート写真が撮れるか見てみたかった!)。Doctor Andのお知り合いのピンホールブレンダー社の社長さんの器材でサクッと作っていただきました。そして、写した写真のできばえは、やはりボケてますが、味がある! 独特の光の表現です!
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