●うまく動かない
〔大きな温度差で試してみる〕
最初から手のひらの温度だけで動かすことは難しいので、まずは熱湯のたっぷり入ったカップと氷で大きな温度差を作って試してみましょう。動かし方は本誌96ページ「動かしてみよう」を参照してください。
もし、動かない場合は本誌95ページ「動きの確認と調整」とともに、下の項目をチェックしてください。動けば、もっと小さな温度差で動くように各部の調整で追い込んでいけます。
〔空気もれのチェック〕
各部の空気もれをチェックします。このエンジンはシリンダー内のわずかな気圧の変化が動力となるので、少しでも空気もれがあると動作しません。次の2点をチェックしてください。
1)ダイヤフラムとアルミ板の間に空気もれはありませんか。
この部分はネジを締めすぎるとダイヤフラムが歪んでかえって空気もれをおこすこともあります。アルミ板との間がすき間なく、しっかり密着していることをチェック。
2)シリンダーとアルミ板の間に空気もれはありませんか。
上下のパッキンがしっかり溝にはまっているか、アルミ板を止めるねじBがすべて奥までしっかりしまっているかを確認してください。少しでもすき間があると動きません。
〔摩擦のチェック〕
各部の摩擦をチェックしましょう。わずかな動力を元に動くエンジンなので、ほんの少しの摩擦でも大きな影響となってしまいます。
1)シリンダーとディスプレーサーがこすれていませんか。
少しでも摩擦がある場合は95ページ「ディスプレーサーの確認」のようにディスプレーサーは下がった位 置で止まりません。疑わしいときはアルミ板Bをはずして周囲のすき間が均一かどうかを確かめてください。わずかでも触れているようなら93ページ・12のように修正します。
2)回転軸周辺に抵抗はありませんか。
回転板のネジ止めなどの無理な力が災いして、回転軸前後のすき間がなくなり、回転が悪くなることがあります。回転板を軽く指で回して10回転ぐらい惰性で回ればOKです。すき間が狭いようなら調整板や小型のマイナスドライバーなどで前後に0.5ミリ程度のすき間を作りましょう。
3)回転板が支柱土台に触れていませんか。
手で回して、回転板の振れをチェックしましょう。振れが大きいと下部の土台に接触してしまうことがあります。接触していたら修正してください。
4)ネジCを締め過ぎると動きが悪くなります。
リンク棒とプッシュロッドを止めているネジCは、往復運動を回転運動に、回転運動を往復運動に変える重要な軸です。効率の良いエネルギー伝達をするためには締めすぎないことが大切です。
〔ディスプレーサーの高さをチェック〕
ディスプレーサーが効率よく動くためには上下のアルミ板に触れないことが大切。一見触れていないように見えても、ネジを外すと触れている場合があります。シリンダーの外からディスプレーサーを見て、アルミ板に当たっているようならもちろん、疑わしい場合も高さ調節をしてみましょう。
ディスプレーサーが傾いている場合はアルミ板Bをはずして修正します。94ページ左下の「回して確認」を再チェックしてください。
〔位相差をチェック〕
本誌7ページの動作工程の働きをきちんと行うには正確な位 相差が必要です。94ページ・18を見て確認してください。
位相がずれている場合はプーリーを持ってゆっくり回して調節します。 この部分はすでに角度を固定してセットしてありますが、ネジ止めなどでずれてしまったことも考えられます。回しすぎは軸にゆるみが生じるので注意しましょう。 |