電子部品の配置
今回の真空管アンプでは、「教材」としてアンプの役割を理解してもらうため、電子部品の配置にもこだわりました。
アンプには必ず入力部分と出力部分があります。本キットでは、外部音響機器の信号が入ってくるRCA端子が入力部分、スピーカー端子が出力部分にあたります。電子部品の配置にあたっては、入力部分は前に、電気的な処理が進むにつれ、出力部分(背面)に近づくほど後ろにあるよう配慮しました。そのためにRCA端子が正面、スピーカー端子が背面となっています。
電気が処理される過程は以下の通りです。
〔1〕RCA端子へ外部音響機器から電気信号(音源)が入力されます。
〔2〕ボリュームによって入力信号の全体の量を調整します。
〔3〕真空管(1B2)が入力信号の電圧を増幅します。
〔4〕真空管(2P3)が入力信号の電力(=電圧×電流)を増幅します。
〔5〕出力トランスで、増幅した信号をスピーカーのインピーダンスに合わせます。
〔6〕スピーカー端子から増幅した電気信号がスピーカーへ出力されます。
〔1〕から〔6〕の処理が正面から背面へ電気信号が移動するに連れ、行われていきます。視覚的に電気処理の過程をイメージしていただけるものと自負しています。
こだわりの小道具
かつて真空管は、繊細かつ高価な電子部品だったので、取り扱いには細心の注意が払われていました。「手の油がガラスに付くと割れやすくなる」という理由で手袋をつけて触るマニアもいたほどです。
また、真空管の足が曲がったままで無理矢理ソケットにさすと、足が折れて真空管として機能しなくなってしまいます。そこで真空管の足をまっすぐにする器具「ピンストレートナー」が、真空管を扱う高級な装置にはたいてい付属していました。前回の製品版「真空管ラジオ」にも付けましたが、今回ももちろん付属しています。取り出した真空管の足をピンストレートナーにさし、まっすぐであることを矯正、確認してからソケットにさします。真空管マニアにとって、神聖な儀式のようなものです。
もちろん本製品でも必ず行っていただきたい作業です。 |