「『メカモ』という商品は以前にも発売していたものなのですね」
金子:はい。昭和47年(1972年)7月から発売が開始されたメカモシリーズは、大変な反響を呼びました。あるときは月間3万台も出荷したことがあるほどです。メカモは、当時これも学研が販売していた学研電子ブロック、マイキットと並ぶ子供たちの垂涎の的だったんですよ。
「1972年の当時はどんな商品だったのでしょうか?」
金子:いろいろな種類があったようです。インチウァーム、ヘビ、ステップドーザー、スパイダー、モノレール、センチピード、クラブ、ジャンパーなどです。
ただ、第一次オイルショックにあたり、原材料の調達が困難になり、やむなく発売を中止するという経緯があったようです。
「今回復活にあたっての経緯はどんなものだったのでしょうか」
湯本:2002年の4月に、学研電子ブロックを復刻して、一時製造が追いつかないほどの反響をいただき驚いていたときに、実はたくさんのユーザーの方から「次はメカモを復刻してくれ」というメールをいただきました。復刻版でこれほど喜んでいただけるなら、やはりメカモもやるべきだろうということになりました。
当時学研の社員で、そもそもの開発者であった故・富谷氏に師事してメカモ開発に従事した石山正三氏にお会いし、なんとかお願いすることができました。その際、当時石山氏の弟子のようにしていた学研の黒沢がさらにチームに加わることになり、やっと開発に着手できるようになったのです。
「今回の復活、前回とどのような改良が加えられたのでしょうか?」
金子:以前のメカモは、0.7mm厚の軟鉄にメッキを施したものがボディに使われていましたが、今回のものは 1.5mm厚のアルミを使いました。ビールなどのアルミ缶に使われているのと同じ高剛性のアルミを使用しておりますので、これによってボディの強度は以前のものとは比べ物にならないほど増しています。
また、以前はボディの各部にものすごくたくさんビス止めをする部分があった(つまり部品同士をビスで接合する箇所がものすごくたくさんあった)のですが、今回はリベットで最初から接合させることで、ビス止めの箇所を大幅に減らしました。
さらに以前はコントローラーと本体が線で結ばれていましたが、今回は赤外線によるリモートコントロールを実現しました。組み立ても、使用感もかなり向上したと思います。
「今回の『メカモ』開発にあたり、ご購入者の方にはどのようにして楽しんでいただきたいですか?」
湯本:今、メカモを再び発売できるのは、時代の変化によるところも大きいと思います。直接的な要因としては、中国の技術の進歩に負う部分が多いというのは皮肉かもしれません。ただ、そういう形であっても、かつて惜しまれながら時代の波間に消えた商品を、今もう一度世に問うことができるというのは、意義あることなのではないかと思います。
ぜひ、この「機械工学の原点」である「復活」したメカモを手にとていただき、学び、楽しんでいただければと思います。 |
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