凹面鏡を太陽の日差しと直角になるように斜めに立て、その焦点にアルミの容器を吊るした。生卵を割って落とし入れる。焦点温度が70度あれば、容器全体に熱が広がり、目玉焼きができるはずだ。
…だったのだが、しかし、実に残念至極である。焦点温度を計測してみたら約60度弱までしか上がらなかったのだ。㈰太陽がかげってきた、㈪そして俄かに風が吹き始め焦点の熱を奪った、㈫凹面鏡の研磨がやはりまだ不十分だった、と原因はいくつか考えられる。目玉焼きも焼けず、今回の実験は村民自らが真摯および正直に判定して、失敗に終わったと言わざるを得ない。が、失敗にもかかわらず、何故だか心地良い疲労感が心を和ませてくれた。
備長炭の火で、焼肉大会へと移行する。山中の夜の闇に火の粉の蛍が飛んでいた。 |