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大人の科学実験村 第2回 トラックピンホールカメラで、日本一の富士を捕らえろ!

今回参加の村民

編集部員4名、写真部員1名に加え、参加希望読者の中から厳正なる抽選の結果、以下の5名に集まっていただいた。

関 琢也さん

機械商社で働きながら、趣味の模型にギミックを組み込む毎日。

岩本 倫明さん

自動車部品の研究職。「大人の科学」で子どもの頃の実験熱が再び。

清宮 博己さん

初代からの電子ブロックマニア。仕事はコンピュータの生産技術。

田村 啓朗くん

いろいろな科学教室に参加している。今は、チョロQの改造に夢中。

田村 勉さん

復刻版電子ブロックで啓朗くんと遊ぶ実験好き。電気関係の技術者。

協力/富士写真フイルム 文/かなざわいっせい 写真/学研写真部 イラスト/加藤 徹

 工作道具を片手に、ワクワクしていた子どもの頃にタイムスリップできる実験村。第2回のテーマは「トラックピンホールカメラ作り」。
 なんと、自走式カメラでドライブがてら、富士山をバックに撮影しようというのだ!

でっかいことはいいことだ!? でっかい山にはでっかいカメラ!

 実験村の村長湯本は、言った。「03号のふろくはピンホールカメラだ。我々実験村もそれをやろう。日本一の富士山のでっかい写真を、ピンホールカメラで撮影するんだ。準備にかかれ!」

 村長退席後、主任の西脇が呟いた。でっかい写真…って、どのくらいのことでしょう?
金子助役が答える。縦1m20に横2mくらいか。げッ…と西脇がのけぞった。
「しかし、不可能じゃない。カメラの原点はカメラ・オブスキュラだ。ラテン語でカメラは『部屋』、オブスキュラは『暗い』。つまり『暗い部屋』という意味で、そこに小さな穴から差し込んで来た光が対面の壁に映像を結ぶんだな。部屋の壁を印画紙にすればカメラだ。つまりピンホールカメラ。だから暗い部屋がでかければでかいほど、大きな写真が撮れる。
よし、コンテナトラックをまるごとピンホールカメラにしよう。でかいぞ、これは。早速準備にかかれ!」

 と言った金子助役の口調は、最近なぜか村長湯本にそっくりになってきた。

再び開村の日を迎える! 天気予報は曇のち雨

 10月18日午前10時、学研本社前駐車場にて湯本村長が、「百聞は実験に如かず」のモットーを発し、第2回実験村の開村宣言がなされた。参加者は村の役員3名と読者代表村民5名、アドバイザーの小林と前田の2人。全員手分けし、おおむね2時間で、2tトラックをピンホールカメラ、すなわち「大きな暗い部屋」に作り上げた。

 が、しかし。完成したのは、コンテナ後部の壁面に小さな3mm の穴が空いた暗幕で覆った暗い部屋、そこから約1.2mの位置に設置した、印画紙添付板が1枚という物件である。

 これがほんとにカメラなの? と、小学生村民の田村啓朗が、怪訝そうな顔をする。そうなんだ、これがカメラなんだよ、と湯本村長が自信たっぷりに答えた。すべてのものの原点の構造は、あっけないくらいに単純。ジャンボジェット機の原点は紙飛行機、天体望遠鏡のレンズは葉の上に浮いた朝露、カメラの原点は小さな穴の空いた暗い箱。ようしッ! の掛け声とともに撮影実験開始だった。

1.「作るぞ、オー!」湯本村長のかけ声に気合いの入る村民。場所は学研本社前。3. 荷台にきっちりはまる木枠を作るため、作業はミリ単位!4. 印画紙を貼るホワイトボード。この中心と、ピンホールの位置を合わせる。
2. 荷台の寸法を見る。微妙なでっぱりが気になる。 5. 木枠がはまった。暗幕で覆う。
6. 中は暗室。徹底的に光を追い出していく。7. 木枠に、ピンホールを取り付ける板を固定。8. プランターをつなぎ合わせ、現像液などを入れるトレーをつくる。そこに雨がポツポツ…。 9. 現像液などを入れる。 10. アルミ板に3ミリのピンホールをあける緊張の一瞬。正確な円であればあるほどいいのだ!11. 穴のまわりをやすりがけしてバリをとる。
12. ピンホールを取り付けて完成!
巨大なカメラの心臓部はたった3ミリの穴!

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