天候はあいにくの小雨。露光時間は20分、暗い箱の前でじっと動かずに立っていなければならないのである。じゃあ、私がやります、とこの日、取材に来ていたフジテレビの相川アナウンサーが、まず最初に挑戦した。真っ暗なコンテナ内で現像実験に携わった村民から、感嘆の声が上がった。うっすらとではあるが確かに相川アナウンサーの全身像がネガとして、印画紙に浮かび上がってきたのだ。しかし、全体に光量不足で成功とはいえない。
そこで照明器具で光を当て、その光をできるだけ多く取り入れるためピンホールの直径を5mmに変え、村長、役員、村民全員が並んだ記念撮影に入る。
「動くな!」の村長湯本の発令からじっと動かず耐えること15分。ああ…、しかし小学生村民の啓朗くんには酷すぎる。出来上がった写真中央に霊のような啓朗村民の姿が浮いていた。失敗の原因は小雨のための光量不足、その小雨を招いたのは強烈雨男の村長湯本…。野外活動が基本の実験村・村長には、雨男湯本は不適任ではないか…と、心の中で助役金子は呟いた。 |