平成17年2月15日、第6回実験村の開村宣言が発せられた。村長湯本はいつになく張り切って、こう述べた。
「350年前のマグデブルグの半球実験をできるだけ忠実に再現したい。だから今なら機械で簡単にできることも、我々は馬を使う」
馬そして乗馬経験者を多数集めなければならないため、実験村一同は、昨年東京都あきる野市に移転してきた「東京ムツゴロウ動物王国」に集合したのである。今回は実験村と動物王国の合体だ。早速、準備に取り掛かる。
かつてマグデブルグ市では、空洞の銅製半球を二つ合わせて内部の空気を抜き、左右から16頭の馬で引っ張った。が、しかし。球はなかなか離れなかったのである。球の中が真空になり、外側から大気圧によって圧せられているからだ。大気圧の凄さを証明しようという実験だった。
読者参加村民の小桧山くるみさんは、球の中の空気をどうやって抜くのかしら⋯と興味津々の様子。そしたら村長湯本が「うどんすき」用の鍋を二つ取り出し、ひとつに水を入れガスコンロの火にかけたのだ。 |