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大人の科学実験村

第6回 「マグデブルグの半球実験」を350年ぶりに馬で再現!
今回参加の村民

編集部員3名、参加希望読者の中から2名、そして、東京ムツゴロウ動物王国のみなさんに
集まっていただいた。

小桧山 くるみさん

動物病院でアルバイトするほどの動物好き。先生になる勉強中。

小桧山 聡平さん

馬術部に所属する馬好き高校生。とにかく馬に乗りたくて参加。

石川 利昭さん

北海道の王国建国以来、多くの動物と生きてきた王国のリーダー。

穐谷 匡彦さん

動物王国で乗馬体験を広める。馬の専門家として今回の実験に参加。


撮影協力/東京ムツゴロウ動物王国 協力/株式会社クボタ
文/かなざわいっせい 写真/小宮山道隆 イラスト/加藤 徹

 子どもの頃に読んだ偉人伝。その内容にワクワクした思い出を持つ人も多いはず。そこで、第6回実験村は歴史的な実験を再現すべく「マグデブルグの半球実験」に挑戦。1657年、ドイツのマグデブルグ市でゲーリケ市長が行った一風変わった実験を、東京ムツゴロウ動物王国にてトライする!

馬を使った壮大な実験。
東京ムツゴロウ動物王国で開村!

「マグデブルグの半球実験」とは

1657年ドイツで「マグデブルグの半球」として知られる有名な実験が行われた。これは銅製の半球を二つ合わせて内部の空気を抜き、16頭の馬で半球を引き離すという実験だった。この壮大な実験によって、それまで否定されていた真空の存在が証明された。


東京ムツゴロウ動物王国

あのムツゴロウ動物王国が東京に引っ越して来ました。犬や猫、ドサンコと触れ合える王国です。

東京ムツゴロウ動物王国

東京都あきる野市上代継白岩600
電話(042)550-6256 木曜定休

 

 平成17年2月15日、第6回実験村の開村宣言が発せられた。村長湯本はいつになく張り切って、こう述べた。

  「350年前のマグデブルグの半球実験をできるだけ忠実に再現したい。だから今なら機械で簡単にできることも、我々は馬を使う」

 馬そして乗馬経験者を多数集めなければならないため、実験村一同は、昨年東京都あきる野市に移転してきた「東京ムツゴロウ動物王国」に集合したのである。今回は実験村と動物王国の合体だ。早速、準備に取り掛かる。

 かつてマグデブルグ市では、空洞の銅製半球を二つ合わせて内部の空気を抜き、左右から16頭の馬で引っ張った。が、しかし。球はなかなか離れなかったのである。球の中が真空になり、外側から大気圧によって圧せられているからだ。大気圧の凄さを証明しようという実験だった。

 読者参加村民の小桧山くるみさんは、球の中の空気をどうやって抜くのかしら⋯と興味津々の様子。そしたら村長湯本が「うどんすき」用の鍋を二つ取り出し、ひとつに水を入れガスコンロの火にかけたのだ。

真空ポンプがなくても、
空気を抜くことはできるのだ。

 沸騰すると縁に輪状のゴムを敷き、その上にもう一方の鍋を重ねて蓋をし、クリップで仮止めする。小桧山くるみさんが、はッ!と息を飲んだ。

 「熱すると水も空気も膨張します。水蒸気は水の体積の1700倍にも膨張するからね、その勢いで中の空気を追い出すのです」
  くるみさんは尊敬の眼差しで村長ではなく、合わせ目の隙間から噴き出す水蒸気を見つめていた。

 そろそろという頃に鍋を冷水に浸ける。水蒸気は冷却され水に戻り、球内は真空に近い状態になった。熱い味噌汁のお椀の蓋がくっつくのと同じ原理である。そうなると球は離れない。計算上約1トンの力で引っ張っても二つに割れない。くるみさんの弟である村民聡平くんと二人で試しに引っ張ってみたが、やはりビクともしなかった。大気圧は凄いのだ。


1. 馬や犬たちと一緒に開村宣言。 2. 鍋にロープをつなぐためのリングをつける。密閉するためにゴムパッキンをはさんできつくしめる。

3. 鍋に水を入れて沸騰させる。4. もう片方の鍋をかぶせてクリップで仮り止めする。すき間から水蒸気がどんどん出ていく。
5. 水をかけると、中の水蒸気が冷えて水にもどり、鍋が密着した。

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