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大人の科学実験村 第6回 「マグデブルグの半球実験」を350年ぶりに馬で再現!

馬とブルドーザーで再度挑戦!590kg!それでも球は割れず。

9. 作戦を変更していよいよ実験本番。馬12頭を直線的につないで一気に引く! 10. ロープのもう片方は重いブルドーザーに結んで固定した。 590kgの力で引っ張られても真空にした球は離れない!
11. 瞬間接着剤で貼り合わせた球につけかえる。
12. 手では離れなかった瞬間接着剤の球だったが、12頭の馬の力で簡単に引き離されてしまった。

人馬一体の難しさを思い知り、
村民は途方に暮れていた。

 石川氏から更に提案がだされ、ロープの右端を重機に繋ぎ、左から12頭立てで引っ張ることに決定。両側の馬たちのタイミングを合わせるのはかなり困難、一方を固定した方がやり易いのだろう。

 で、またもやヨーイ・ドン!と引っ張ったら、今度は瞬間最大590kgを記録した。真空鍋はビクともしない。鍋を天井から吊り、現役時代の小錦二人がぶら下がっても離れないのと同じだから、これは凄い!しかし、前記したように割れるまでやる実験なのだから、まだまだ力不足である。膠着状態が続いた。

 そこで小休止、瞬間接着剤でくっつけた鍋を馬で引っ張ってみたら、計測器の数値を視認する間もないほどに、あっけなく二つに割れてしまった。大気圧は瞬間接着剤を子ども扱いにしたといえる。

 我々は、その大気圧を生まれてからずっと受け続けているというのだから、不思議というか驚きではないか。

 

人が力を合わせるとすごい
パワーを生み出すことができる。

 馬を諦め、人で引いてみませんかと王国民から意見が出てやってみることにした。王国民、実験村役員、村民そして王国に遊びに来ていたお客さんまで参加してもらい15人で引っ張ったら、720kgの瞬間にバシン!と音がして全員が後ろにひっくり返ったのだ。

 おおお、真空鍋が割れたのか⋯と思ったらさにあらず、ロープがぶち切れてしまったのだった。当日我々が実地測定したところ、ごく普通の体格の人間3人で約1馬力と出た。15人だから5馬力。その力で引っ張るとロープは切れるが、真空鍋はまだ離れないという結果を得たのである。

 マグデブルグでは、馬を16頭にしたときに球は割れたという。だとすれば、人間で引くなら48人が必要となる。48人分の人件費は余りにも高い⋯。仕方がないと湯本村長は呟いた。

 


ロープが、切れた。
13. 「3分の1馬力」×15人が力を合わせる。 14. 離れた!? と思ったらロープが途中で切れただけ。
     
3人でやっと1馬力

馬力は、馬1頭の仕事率を表す単位で、1782年、ワットが蒸気機関の能力を表すために初めて用いた。1馬力は、約75kgのものを1秒間に1m持ち上げる力とされている。馬になりきって、重量挙げの重り75kgをロープで引き上げてみた。

村長1人の力では重りを一瞬浮かせるのが精一杯だった。3人でやっと重りを1秒間で1mあげることができた。つまり、人間はだいたい3分の1馬力ということか。1秒間で1m。かなり過酷だ。


私たちの生活を支えるのは7頭の馬  

馬力には英馬力(HP)と仏馬力(PS)がある。英馬力は745.7Wで、仏馬力は735.5Wと若干の差がある。日本では主に仏馬力を用いてきた。

仕事率の単位である馬力は、国際的な単位ではWを用いる。家の契約アンペアが50Aの場合、5000Wまで電気が使える。その消費電力量を馬力で換算すると、約7馬力になる。

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