今回、超電導コイルが発生する磁場は0.1T(テスラ、1T=1万ガウス)。ネオジ磁石でも0.3Tくらい出せるものがあるので超強力というわけではないが、この超電導コイルは直径が23cmもあるというところに意味がある。
船は小さなスクリューを高速で回転させるよりも、大きなスクリューをゆっくり回転させた方がよく進む。電磁推進船の場合も同じで、海水の噴射口を絞って海流を速くするよりも、広い範囲に磁場を発生させ、一度に多くの海水を流すことが重要になる。そのためにはより大きな磁場が必要で、ネオジ磁石でこれをやろうとすると巨大で重い磁石になってしまうのだ。
今回の場合、十分な推進力を得るために海水に流す電流量を大きくしてみた。推進装置のダクト1つにつきカーバッテリー(12V)を4つ直列につなぎ、48Vもの電圧で海水に電流を流す。海水の抵抗を考慮すると、ダクト1つ(電極間6cm)につき最大48A流れる計算だ。
以上の数値より船の推進力を計算すると、0.1(T)×6(cm)×48(A)=28.8(N・ニュートン)が4つで合計115.2N。1Nは約1kgなので約100gの推進力を得られることになる。ちなみに、超電導コイルが作り出す磁場は近い将来20Tを越えるという。 |