それから、西脇主導で船の水流を確かめるため超電導回転寿司実験開始。準備していたプールに船を沈め、西脇がスイッチを押すと、ああ、そしたらどうだ。ヤマト2の船尾ダクトから水流が発生し始め、浮かせてあった寿司皿がゆっくりと動き出したのである。
金子助役、腰を抜かした。世界最先端の超電導技術を使用し、ここまでバカバカしい実験をやったのは西脇が世界初であろう⋯と。
岩田先生と岡崎氏がマグロの赤身に箸を伸ばす。自分とは脳ミソ構造が格段上の二人が子どものように面白がっている姿を見つつ金子助役、体温が低下していくのを感じた。もしかしたら、高温超電導と電磁推進を合体させた超省エネによるビジネスの新しい世界を、今、目の前で主任の西脇がやって見せたのではないか⋯と思ったからだ。
一点深く集中のエンジニアと広く浅くの編集者の知力が合体したときに、爆発的なヒット商品が産声をあげる。西脇はひょっとすると⋯と呟きながら金子助役が海苔巻き卵を箸でつかみ、口に入れようとした時、西脇が言った。
「その卵には、塩素を含んだ海水がついたので食べないように!」
口を開いたまま固まった金子であった。 |