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大人の科学実験村 第10回 世界初挑戦!「レーザー空気望遠鏡」で土星を狙え!

今回参加の村民

編集部員3名と、今回は空気望遠鏡に詳しい、水戸二高の岡村先生とその生徒さんに協力していただいた。また、機材や実験方法については、学研・科学創造研究所の阿部氏に協力を要請した。

阿部匡伸研究員

学研・科学創造研究所研究員。天体マニア。望遠鏡というテーマに居ても立ってもいられず参加。

水戸第ニ高等学校 地学部

県下きっての名門地学部。岡村先生の指導のもと、焦点距離9.5mの空気望遠鏡作りに挑戦、その研究が海外で賞賛された。現在はハーシェルの金属鏡望遠鏡作りに挑戦中!

岡村典夫先生

地学部の生徒たちと天体望遠鏡の研究に情熱を注ぐ熱血高校教師。

部長
平林志野
さん

福部長 石田葵さん


小森有祐美さん

西谷真由里さん

金生典子さん

小林万里子さん

冨山香里さん


協力/ビクセン・茨城県立水戸第二高等学校
文/かなざわいっせい 構成/小島俊介(ハユマ) 写真/ミワタダシ イラスト/加藤 徹

 昔、ヨーロッパで流行した鏡筒のない空気望遠鏡。鏡筒がないからといって侮ってはいけない。土星の輪の発見は、この空気望遠鏡によってなされたのだ。今回の実験村は、レーザーを使って空気望遠鏡を現代に甦らせてみた。
 本当に、こんな代物で土星の輪っかなんか見えるのか?

初の女子高生村民誕生!
水戸ニ高にて、開村宣言!

空気望遠鏡とは?

17世紀、倍率を求め、レンズの焦点距離を伸ばした望遠鏡は、しだいに長大なものになっていった。その結果、かさばる鏡筒は不要とされ、接眼、対物レンズが剥き出しになった空気望遠鏡が誕生した。以下は成果の一部。

○1656年、オランダの天文学者ホイヘンスは、長さ3.6mの空気望遠鏡で土星の輪の観測に成功。

○1673年、ドイツのヘベリウスが長さ45.7mの望遠鏡でハレー彗星の核の形を観測。

○1682年、イタリアの天文学者カッシーニは、長さ46mの空気望遠鏡で土星の輪に隙間(カッシーニの間隙)があることを発見。

ホイヘンスの空気望遠鏡。2つのレンズをコードでつないでいる。

 2月25日の土曜日は「曇り、夜には雨が降ることも…」という天気予報だったが、慌て者の桜が咲き始めるかもしれないような、ほっかほかの晴天になった。

 「記念すべき第10回の実験村です。今回は空気望遠鏡で土星観測に挑戦します」

 湯本村長が茨城県立水戸第二高等学校の校庭で、開村宣言を発した。声がいつもより軽やかである。それはなぜかというと、当校は県下一の伝統を誇る女子高であるからだ。

 よってずらりと並んだ村民7名は、ほんまもんの女子高生で、地学部の部員。天体に興味のある女子高生の存在が嬉しい村長の頬が緩んだ。実験は失敗しても、楽しい一日になると、内心そう思っていたかもしれない。

 当校地学部は、顧問の岡村先生の指導で空気望遠鏡を手作りし、2005年は国際天文学連合のバリ島の会議で天体観測結果の発表をしてバカ受けした。2006年はプラハにて、英語で発表をやる予定である。部員たちの実績と将来は、本日の晴天以上にアッ晴れなのだ。

はたして2枚のレンズだけで、土星の輪をとらえることができるのか?

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