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大人の科学実験村 第4回 花の色素で太陽電池作りに挑戦!

どの色素が本命だ!?8. きれいにならんだ色素。左からアメリカンチェリー、ガーベラ、ヒメツキミソウ、マリーゴールド、バラ、ベゴニア、ローズヒップティー、リンゴ。これだけ抽出するのに半日もかかった。
9. 酸化チタンに色素を染み込ませる。一番発電しそうな色素を予想していると、討論会に。10. 酸化チタンに色素を染み込ませた導電フィルムに炭素をつけた導電フィルムを貼り合わせる。11. 最後にヨウ素溶液を注入して、色素増感太陽電池完成!

多くを語らない主任。
今必要なのは、希望だ。

 宿の部屋で、コーティングフィルムを花から抽出した色素溶液にじっくり浸す。

 翌5日の土曜日、実験村の天空は前日以上の快晴だった。ところが、西脇主任の勢いが昨日に比べやや低下気味である。本当は…とここで、事の真実を明かさねばならない。東北大内田博士に指南を受けて戻った彼は、学研本社内で何度もプレ実験を繰り返したのだ。が、彼が作った太陽電池で得たのは、瞬間最大でも僅か1ミリアンペア(以下mA)の電力でしかなかったのである。フィルムサイズは30cm×40cm。マイクロモーターを回転させるには6mAが必要なのだ。

 本番では球体の飛行船にフィルムを貼り付け易いように、わざとフィルムのサイズを約3分の1にしたのだ。これでは十分な電力は得られないかもしれないと疑ったままでの、見切り発車だったため西脇の背中には、プレ実験途中のまま本番の朝を迎えてしまった…と冷や汗が浮いていたのである。

完成!さっそく並列につなげて発電だ!
発電!しかし、すぐに劣化・・・パワー不足だ。12. できた太陽電池を並列につなげていく。13. 5.7mAの発電! モーターが回転するには6mAが必要だ。しかも、この後すぐに数値が下がっていく。14. 色素が定着するまで、しばし休憩。実験がうまくいくか気が気でない。

 「しかしだ。色素8種のフィルム版を並列につなげば、6mAくらいは出るだろ!」
と空を仰いだ村長湯本の掛け声と共に、いよいよ本番が始まった。もう一枚のフィルムにヨウ素溶液の反応を良くする8Bの濃い鉛筆をこすりつけ炭素を付着させる。そして酸化チタン+色素のフィルムと重ね、樹脂製両面テープできっちりと貼り合わせた。ヨウ素溶液をスポイトで流し込む。するとヨウ素溶液が流れ込んだ瞬間に早くもテスターの目盛が動き始めた。確実に太陽のエネルギーを電力に変換している。全員が身を乗り出して覗き込む。

 1枚で0.7mAを得られれば、8枚繋いで6mAを超える。そしたらモーターが回転する。祈るような西脇主任が見た数値は、ああああ、なんと絶望的な「0.25」…だった。これでは8枚繋いでも合計は2mAでしかない。

 しかし、やってみなければわからんぞと村長湯本が8枚のフィルムを繋ぎ、それをモーターに接続した。が、やはりピクリとも動かなかった。風にプロペラを向けると時々痙攣するように回転する。それを金子助役は冷ややかに眺めていた。

 我々の色素増感太陽電池ではなく、風がプロペラを回転させているのだ。電力が風に負けている。やはり、エアブラシを使った手塗りの酸化チタンではダメなのか。花の色素も不純物が多すぎるのか。ああ、今回は失敗と言ってしまいたかったが、しかし、そうはさせられない。

 じゃあ、もっとサイズの大きなフィルムで作り直そう! と金子は叫んだ。


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