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新型ピンホール式プラネタリウムで天の川をうつしたい

2.新機構の追加

編集部での「新型プラネタリウムを作るなら」会議の中では、電球以外にも進化ポイントについて議論をかわした。その結果、「少しでも星をシャープにするためには、恒星球を大きくしたいね」「やっぱり、自動で回転してほしいよね」「ACアダプターはつけられないだろうか」「夜、つけっ放しで寝ちゃうことがあるから、電源が自動で切れる機能もほしいね」「南半球の星も作ってみたい」「天の川が映せるといいよね」などなど、さまざまな意見が出た。それらの意見を持って、いつもふろくの試作をお願いしている工房匠の永岡氏をたずねる。
「新しいプラネタリウムを作ろうと思うんですが、今回は専用の電球を作ろうと思います」という話をすると、
「そうだよね、電球は専用が必要だよね。そう思って中国で電球工場を探させてるから、いずれ試作が届くよ」
という返事が。これまで年に何度かプラネタリウムの新作の話をしてきたが、まさに今伝えようとしている今回方針を決めたことまで、先回りして電球の試作をお願いしているとは。まるで、編集部の動きをどこかで見ているかのような対応に驚きつつも、そのことに感謝し、あらためて今回の方針を伝える。

電球は日本の細渕電球さんに試作をお願いしたことやその電球の仕様について、また回転機構などあらたな機能を追加したいことをお話した。これまでにもそういう話をしてきたので、永岡氏の頭の中にはすでにだいたいの構造はできあがっていたようで、特に難しいところはなさそうだ。安価なACアダプターを見つけられるか、というところは中国の事情しだいだが、それ以外の機能については問題ない。編集部であらかじめ用意しておいた、前回の星のデータを原板サイズを大きく、星自体は小さくして製版フィルムで作った恒星球を渡して、それに合わせた機能見本の試作をお願いした。

▲紙の恒星球は大きさを確認するために、
実際の投影像の確認用には製版フィルム(右)
を組み立てた。

依頼から1週間後、試作ができあがったとの連絡があり、再び永岡氏のもとへ。そこには、自動回転機構部の試作ができていた。DVDプレイヤーなどに使う静音モーターの動力をギヤをつないで、速度を落としていくしくみだ。それにしても、回転音がまったくしない。非常にゆっくりと回るため、スイッチをオンにして動いているかどうかの確認は目視、あるいはモーター部分を耳にあて、かすかな音を聞くしかないほどだ。
「モーターから最初の力はプーリーとベルトで伝えています。最初はプーリーひとつで作ったんだけど、どうしてもギヤの音が消せないので、プーリー2枚使いになってます。問題ありますか」
こんなに静かなのに、問題あるはずがない。逆に問題になりそうなところを聞いてみた。ベルトの劣化が問題だが、シリコンを使えば解消できるだろうとのこと。

▲09号の土台に自動回転機構試作を取り付けた。電球ソケットの下にギアが見える。

電源周りについては、オートオフ機能はできれば物理的な機構を考えたいが、現状は簡単なマイコンで制御したほうがよさそう、とのことだ。物理的に電源オフにできればよいが、タイマー機構を物理的に作ると、せっかく静かに回転しているのに、タイマーから音が出る可能性もある。たしかに、ここはマイコンで制御したほうがよいかもしれない、と思いながら、その日の打ち合わせを終えた。
1週間後には、細渕電球さんと中国からの電球の見本ができあがる予定だ。

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