村長湯本がつきつけた宇宙への挑戦状!
はるか上空3万6000kmに浮かぶ衛星の電波をねらえ!
実験村末端職員の西脇主任は、湯本村長のことを陰で、無理難題氏と呼んでいる。今回も来るぞ⋯と身構えて村長の前に立った。
「04号の『大人の科学マガジン』のふろくはラジオキットだったな?」
村長の問いに西脇はうなずく。試作品は既に出来上がっております、横から金子助役。
「じゃあ、実験村も電波で行こう。巨大なパラボラアンテナを手作りして、海外の衛星放送を受信する。とうとう宇宙に挑戦する時が来たな。ワクワクするなあ、え、主任?」
ど、どうやってそんな物を作るんですか?
西脇は一歩退き、金子は反対に村長との距離を一歩詰めながら、二人は同時にそう訊いた。
「山にはまだ雪がある。雪で直径3mくらいのでっかいパラボラを作る」
湯本村長は宙を見上げたあと、早速、資料収集にとりかかれ!の命令を下した。無理難題は発射されたのである。金子と西脇はとにかくその方向に向けて走り出すしかない。パラボラ、人工衛星関係について調査すること10日。
雪で直径3mのパラボラを作ることは可能、雪は加工しやすく、素人でも修正しながら、ある程度精度の高いものを完成させることができるらしい。
しかし、衛星からの電波を受信するのは素人では無理とのことで、日頃から海外の衛星放送を受信している斎藤政与志氏にスーパーアドバイザーをお願いすることにした。