3月14日、実験村2日目の朝、またもや快晴、気温も高い。もしかしたら昨日の雪の小山が溶けてしまってるんじゃないか⋯という不安を抱えながら現場に駆けつけた。小山はあった。凹面削りのシールド板、テレビ、チューナーも昨夜のうちに届いている。西脇主任の新婚ボケが再発しない限り、今日こそゴリゾンを射止めることができるはずだ。村民の志気が高まった。
まず穴掘りである。作業開始。ああ、それなのに、どうしてこうなるのだ? 気温が高かったためだろう、小山の表面の雪が一度溶けたにちがいない。その後深夜に一瞬厳しく冷え込んだと思われる。小山の表面は雪ではなく氷に姿を変えていたのだ。
あたしシャベルなんて生まれてからまだ一度も手にしたことがないんです、けどガンバリますと紅一点の村民稲垣がシャベルを小山に打ち付けたが、跳ね返されてしまう。雪かきしたことはありますからね、と男村民鈴木と脇田が、交代でシャベルを振るう。が、しかし。その音はザクリではなくカッチーン。ムカッと来て連続攻撃を仕掛けると、息が切れた。
氷との戦いでどーっと汗が噴出してきて、暑い。喉が渇く。
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