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緊急連載:ふろくのシンセができるまで

3.本格的な設計に向けて

▲電子ブロックにある「エレクトロニック・オルガン」の配線図。鉛筆の塗り方によって、いろいろな音程変化を楽しめる。

 「パーカッション・シンセでも十分楽しい。しかし、もう一歩先に進みたい」
注目したのは、パーカッション・シンセのパラメータのひとつ、[PITCH]でした。可変抵抗を回して、周波数を変動させます。可変抵抗で音程を変えると言えば、電子ブロックの回路に「エレクトロニック・オルガン」というものがありました。そこでは、鉛筆で黒く塗りつぶした紙の上で電極を動かすことで、音程を変えていました。「PITCHの可変抵抗をそのようなものに置き換えれば、音程をコントロールできるのでは」と考えたのです。

 

 このまま、試作を眺めていても前進できません。新しい頭脳が必要です。そこで、アドバイスをお願いするべく、自作アナログシンセのサイトを運営しているGさんに声をかけてみました。「まずは、お話だけでも」ということで、試作第1号をお見せしました。「う~ん、この部品数で…う~ん、なるほど………おもしろいですねえ」
とGさんの表情が次第にほころんでいきます。

 

「この試作はどちらかというと、効果音で楽しむものです。これを、もっと普通のアナログシンセに近づけたいのですが、設計のお手伝いをしていただけませんか」
Gさんの表情を見るなり、いきなり本題のお願いをしてしまいました。
「いやあ、できるかなあ? でも、おもしろそうですねえ、やってみたいなあ」とGさん。「ぜひお願いします」
「……わかりました、やらせてもらいます」
こうして、Gさんが新たにプロジェクトメンバーに加わりました。

 

▲Gさんによるスライド・コントローラ試作。6V電源での動作し、簡単なVCOを備えている。

 Gさんに試作第1号の回路図をお渡しして、まずは、ここに音程を変化させるためのコントローラを実装させることから検証しましょう、ということになりました。そして、それからわずか3日後のことでした。「スライド・コントローラを試作してみました」と、Gさんからの連絡。その翌日、Polymoogさんにも声をかけ、その試作を見せていただくことにしました。Gさんはとりあえず、手持ちのスライド・ボリュームをばらして、コントローラとしていました。端から端までで2オクターブ以上の音階がとれます。これなら、十分いけそうです。コントローラで音出しを楽しみながら、あれやこれやと自由に意見交換しました。それらのアイデアを中国スタッフに伝えましたが、あいにく中国は旧正月の休みに入ってしまいました。そして、中国の旧正月が明けると同時に、Gさんから驚くべき報告がありました。
「お二人と話をした後、興味があったので、別なシンセを試作してみました…」

 

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