ふろく制作の裏側をお見せしてきましたが、ふろくの量産の見本ができてくると同時に、本誌の取材が始まります。最初の取材は4月26日、取材対象はセニョール・ココナッツことアトム・ハート氏でした。アトム・ハート氏は、ちょうど、ヤマハから発売された光と音の音楽インターフェース“Tenori-on”のローンチ・イベントのために来日していました。ふろくを初めて取材対象者に見せる瞬間は、いつでも緊張します。通訳を通じて、ふろくの概要を説明します。どんなに説明するよりも、ふろくのことを知ってもらうには、音を聞いてもらうのが一番です。電源を入れて、スライド・コントローラの電極をパネルに押し当てます。音を鳴らしながら、LFOやCUTOFFのつまみを回して見せます。
「どうぞ、使ってみてください」と言うと、アトム・ハート氏が、つまみを回しながら、いろいろな音を出し始めました。氏の表情が緩んでいくのが、手に取るようにわかります。ほっと一安心です。この“自分で音をいじっていくうちに、次第に表情が緩む”というのは、これ以後のすべての取材対象者に共通した反応でした。 「アナログ・シンセサイザーのおもしろさがよく出ている」 彼の感想でした。松武さんを交えたインタビューを終え、その後の撮影も無事に終えると、再びふろくを渡して、「今度はふろくで自由に遊んでみてください」と伝えます。松武さん所有のMOOGIIICを背に、さっきよりも大胆につまみを回して音を変化させています。黙っていると、いつまでも鳴らしていそうです。最後には、「本ができたら、ふろく一緒に絶対に送ってほしい」と何度も何度も言われました。
ふろくができてきて、いろいろな人に使ってもらうとわかるのですが、今回のふろくシンセは、つまみの数は少ないのですが、それでもつまみの回し方に演奏者のクセのようなものが出ます。アトム・ハート氏の場合は、スライド・コントローラで音程を変化させながら、さまざまなつまみを回していました。こうして実際に使う様子も参考にしながら、さらに回路の細かい部分を最終決定していくことになります。
発売記念のイベントが決定しました。詳細はこちら
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