前回残した6つのパラメータ、それは [PITCH EG] [LFO RATE] [CUTOFF] [RESONANCE] [ATTACK] [DECAY] でした。正確にはこれにLFOの波形切り替えを残していました。楽器らしいアナログ・シンセと効果音で遊べるパーカッション・シンセの両方を満たすぎりぎりのところです。パラメータを決める過程で、次のようなやり取りもありました。中国スタッフとはSkypeで直接話をしました。こちらには、GさんとPolymoogさんも控えています。 (編集部)「原価を下げるのに一番有効な部分はどこでしょう」 (中国S)「ボリュームつまみをなくしてください」 (編)「ボリュームつまみをスライドスイッチに変えても大丈夫ですか」 (中)「それは、ぎりぎり大丈夫でしょう」 (編)「ちょっと、考えさせてください」 真っ先に思いついたのが、音量のボリュームを、テルミンminiと同じ2段階切り替えに変えることでした。これには、GさんもPolymoogさんもすぐに賛成してくれました。元々そうなりそうな気もしていました。しかし、もうこれ以上何もなくしたくない。ただ、これ以上価格アップもしたくない。しばらくの長考の後、 (P)「レゾナンスですかね」 (G)「うーん、レゾナンスON/OFFというのはありますね」 (編)「それは、今のツマミの右いっぱいと左いっぱいの切り替えということですね」 実際にGさん第2号試作で確認してみます。3人で顔を見合わせます。 「これですね」 [RESONANCE]はスライドスイッチでON/OFF切り替えに決定。プロジェクト・メンバーにも仕様を伝え、ついに全パラメータの仕様が決まりました。
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▲デザイナーによる成型用図面。 |
中国での試作(ほぼ本設計も絡んでいます)が進むと同時に、デザインもスタートしました。基板設計はまだですが、大物の部品が決まりましたから、基板の寸法が提示されました。さっそく、デザイナーに寸法を伝え、いくつかの案を出してもらいました。デザインのポイントは、「見た目でなんとなくシンセサイザーであることがわかる」ことです。ここで、こだわったのが、MOOGで使われているツマミです。特別なツマミというわけではなく、かつての電子機器によく使われていたタイプのものですが、なぜかシンセ感をうまく表現してくれます。中国の設計上での問題ともぶつかりながら、何度かキャッチボールを繰り返し、ほぼデザイン案ができあがりました。
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▲中国での打ち合わせ中のテーブル。いろいろな段階の試作が並ぶ。 |
4月のはじめに、中国スタッフと直接会って、進行状況の確認をしました。テルミンの接続テストや、あらかじめ送っておいたGさん2号機との比較などを通して、回路の検証を行っていました。方向性に間違いがないこと、原価的に問題がないことが確認できたので、デザイン案にそって、金型製作を始めます。一気にいろいろな事項が同時進行で進み始めました。こうなれば、彼方にゴールが見えてきます。
さて、話の途中ですが、ここで緊急発表です。この連載は時間軸に沿って順に話を進めてきました。しかし、当然のことながら、実際にはもっと先まで企画が進行しております。そして、ついに本日、発売予定日・予価、そしてふろくの完成像をお見せできることになりました。告知ページを作りましたので、下記リンクからご覧ください。連載は、これからも続きます。このふろくについて、お伝えしたいことはまだまだあります。引き続きお楽しみください。
告知ページ
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